【作品を紹介する落水さん】

24日から名古屋で展示

 65歳で定年退職した後に本格的に絵画を学び始め、水彩画を中心に創作を続ける三重県名張市緑が丘中の落水保之さん(79)の作品が、昨秋の「第10回日展」の第2科(洋画部門)で初入選した。「廃校(軍艦島)」と題したP100号の作品は、1月24日に愛知県で始まる「第10回日展名古屋展」の会場に並ぶ。

 幼少時から絵を描くのが好きで、高校では美術部で活動し、地元の公募展で入賞したことも。約50年前に名張へ転居後は、仕事の傍ら趣味で絵を描く程度だったが、退職後は「絵を基本から学びたい」と、市内の絵画サークルに入会した。

 これまでに名張市展や県展、関西水彩画展、全日本アートサロン絵画大賞展などの公募展に精力的に出品し、さまざまな賞を獲得してきた。100年以上の歴史があり、芸術文化の振興を目的に毎年開かれている日展だが、落水さんは、日展系会派(7団体)の一つ「東光会」の研修会で指導を受けた前原喜好さんの「日展を目指してみては」という言葉に背中を押され、2014年に初出品し10回目で初入選を果たした。

 昨年初めに描き始めた今回の作品は、長崎県出身の自身のメインテーマでもある軍艦島(端島)の一風景で、廃校を中心に描いた。構図に悩みながらも、絵の具にメディウム(溶剤)を混ぜるなどして重ね塗りを施し、コンクリートの質感にこだわったという。

 落水さんは「『創作力』を大事なテーマに日々研究してきた。今後も描き続けたい」と話した。

 「日展名古屋展」は2月12日まで愛知県美術館ギャラリー(名古屋市東区)で開かれる。

2024年1月13日付859号2面から

- Advertisement -