【親子3代で「第九」の舞台に立つ(右から)椰さん、真希子さん親子と金近さん】

 年末恒例のコンサートを開いている「名張第九を歌う会」に入会した今年の新人9人のうち、和歌山県新宮市から通う親子がいる。西村真希子さん(46)と長男で高校2年生の椰さん(16)だ。練習会場の三重県名張市内まで片道約200キロの道のりを、車で約3時間半かけて通っている。

 西村さんは、同会のメンバーで同市百合が丘東の金近治さん(74)の長女。同会のホームページで新人募集を知り「無理を承知で練習に参加してもいいか父親に相談した」という。金近さんは「最初はびっくりしたが、こうした経験は、後々必ず財産になると思い賛成した」と笑顔で話す。

 小学生の時から歌が好きで、合唱部の一員として大阪城ホール(大阪市)である「1万人の第九」に出場経験がある西村さん。「幼いころから家で口ずさんでいる父の姿を見てきたので、ベートーベン作曲の第九に自然に興味を持っていた」といい、コンサートではアルトを担当する。

 バス担当の椰さんは「以前、母に第九やドイツ語についてを聞いたことがあるので、今回母が参加すると聞いて僕も挑戦したかった」と話す。

 2人は毎週土曜に総合福祉センターふれあい(名張市丸之内)などである練習に月2回ほど参加。午後7時から始まる練習日には、自宅を午後1時には出発。練習が終わる同9時に名張を出ると、家に着くのは翌日の午前1時ごろになるという。次の日の予定が無い時などは、実家に泊まることもあるそうだ。

 金近さんは「練習に参加し始めた6月から5か月経ったが、ハードだなと感心している。3人で一緒の舞台に立つことはこれからも無いと思うので、暮れの舞台を楽しみにしている」とうれしそうに話す。

 「練習日のスケジュール調整は大変だが、第九が大好きなメンバーの方々と一緒に歌えるのがうれしいし、合唱指導の先生方から毎回中身の濃い指導をして頂けるのがありがたい」と西村さん。椰さんは「ドイツ語の発音はとても難しいが、大人数で合唱することは非常に貴重な経験。参加して良かったと思う」と満足そう。

 2人は「体調を崩さないよう、教えてもらったことを生かせるよう残りの日々を頑張りたい」と決意を述べた。

2023年11月25日付856号14面から

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