【実証運行に使用する自動運転車両】

日常の交通手段確保へ検証

 人口減少や高齢化が進んでも幅広い世代が住み続けられるための日常の交通手段を確保すべく、奈良県宇陀市榛原天満台を中心に、自動運転車両の実証運行が12月4日に始まった。自動運転の車両が実際に公道を走行する実験は奈良県内初だといい、同22日までの平日の昼間、団地内と病院、スーパーをつなぐ2路線を運行し、走行ルートの安全性や利便性などを検証する。

 2020年の国勢調査の統計によると、市内の高齢化率は42・1%で、天満台地区は48・9%。実証運行は25年度までの実施が検討されており、ルートや安全性、利便性などについて利用者や住民から要望・意見を募り、実現可能性を探る。事業費は国土交通省の補助金を充当している。

 今回は、天満台団地の拠点施設である大和富士ホール(榛原天満台西2)から西隣のひのき坂団地を経由し、宇陀市立病院(榛原萩原)までの「西ルート」(片道約2・7キロ)と、同ホールから最寄りのホームセンターとスーパーの付近までを結ぶ、手動運転による「グリーンスローモビリティ」の「東ルート」(同約600メートル)を設定している。

送迎サービスも

 途中に4つの停留所を設ける西ルートは10人乗りの電動車両で自動運転を行い、直通の東ルートは手動運転の7人乗り電動カートを使用。期間中は西ルートが午前8時から午後3時台の間に7往復、東ルートが午前9時から午後3時台までに12往復を予定している。

 また、団地東側の利用者が同ホールへの移動が難しい場合に備え、電動カートを活用した送迎サービスも実施する。同ホールの発着時刻に合わせ、8つの停留所を巡回する。どちらの車両も最高速度は時速19キロ。実証運行中は自動運転車両にも運転手が乗車し、交通状況によって適宜対応するという。

予約システム

 乗車は無料で、東ルートは予約不要だが、西ルートと送迎サービスは要予約。市ホームページから自動運転実証運行のページに進み、QRコードやリンクから予約システム(24時間受付、要利用者登録)に進んで必要事項を記入するか、専用ダイヤル(0120・276・904、平日午前9時30分から午後5時)へ。予約、キャンセルは出発時刻の1時間前まで。車椅子やベビーカー利用の場合は電話で申し込む。

 11月23日に天満台、ひのき坂で開かれた説明会では、住民から「病院からの復路は時間が読めず、事前予約やキャンセルが難しい」「団地内を走る既存バス路線の維持や利用促進にも併せて取り組んでいく必要がある」「周りのドライバーなどへの周知は十分か」などの声が寄せられていた。

 問い合わせは市政策推進課(0745・82・3910)へ。

住民向け説明会の様子=宇陀市榛原天満台で
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