三重県立名張高校農業機械科の卒業生有志が9月上旬、当時担任だった元教諭の竹森冨雄さん(99)の白寿を祝う会を、竹森さんが入居する名張市百合が丘西5のサービス付き高齢者向け住宅「百合ヒルズ」で開いた。参加した教え子たちも一部は喜寿を迎える歳だが、約60年経っても師弟の絆は変わらないようだ。
同高沿革などによると、農業機械科は農業近代化の波を受けて1962年に設置され、75年まで存続した。農耕の主役が牛馬から機械へと移り変わる時代背景の中、竹森さんは同科の創設に尽力。同高で教頭を務めた後は上野農業高校の校長などを歴任し、明野高校の校長で定年を迎えた。竹森さんの指導を受けた農業機械科の卒業生たちは、農業だけではなくさまざまな業界に羽ばたき、活躍した。
6年ほど前、同科2期生の坂本健蔵さん(76)=夏見=が世話役となって同窓会を企画した。音信不通になっていた人とも何とか連絡を取り、2期生17人と竹森さんの再会が実現したことを、当時のYOUが紹介した。
今回の祝う会は、坂本さんの他、1期生の高田稔嗣さん(76)=黒田=、2期生の家里英夫さん(76)=西田原=の3人で企画。1期生3人、2期生10人、9期生1人の教え子計14人が集まった。都合がつかず参加がかなわなかった教え子からも、花束が届いた。
この日、集まった教え子たちは竹森さん夫妻に花束を手渡し、一人ひとり順番に近況を報告。企業の経営をしてきた人や行政職員として働いてきた人、首長を務めた人など、教え子たちの話はさまざまだった。耳が聞こえにくい竹森さんのため、坂本さんが話をノートに書いて伝えた。
教え子たちの話を把握した竹森さんは「複雑に移り変わる世の中で、皆さんが自分の理想に向かって一生懸命頑張ってきたことに敬意を表したい」とスピーチ。その後、食事を一緒にとりながら思い出を語り合った。
竹森さんはYOUの取材に「このようにお祝いして頂いたことは驚きで、教師としてありがたいことこの上ない。寄ってくれたみんなが元気そうでうれしかった」と話した。
2023年9月23日付852号25面から
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