【今年度2回目の会合が開かれた市立病院改革検討委員会=名張市百合が丘西1で】

 三重県の名張市立病院の2027年度まで5か年の経営強化プラン策定に向けた「市立病院改革検討委員会」(委員長=佐久間肇・三重大付属病院副院長)の今年度2回目の会合が7月6日、同病院で開かれた。病院事務局は現行の経営形態に基づくプランの素案を示したが、委員からは「机上の空論だ」「現実離れしている」など批判が相次いだ。

 経営強化プランは、公立病院を経営する全国の自治体に総務省が23年度末までの策定を求めているもの。この日示された素案は52ページの内容で、現状分析や目標、経営強化に向けた取り組みなど7章で構成している。

 目標では、27年度の経常収支比率を102・3%(19年度比8・6ポイント増)とすることなどを設定。取り組みとして三重大病院などと連携したブランチ診療科、HCU病床の導入などの内容を含む重点5項目も示したが、49ページまでは現行の経営形態を維持した場合の計画が続く。

 経営形態の見直しについては6章の50、51ページで触れ、2月に市の諮問機関「市立病院在り方検討委員会」が答申した地方独立行政法人や現状維持など候補の4方式を示した。地方独立行政法人については「答申を踏まえた場合、最も有力な選択肢である」とする市の考えを記し、27年度までの計画期間中に経営形態を決めるとしている。

 この日の会合には、医療関係者や市民団体の代表者ら委員8人のうち7人が出席。経営形態が決まっていない段階で出された素案に、委員からは「4通りの収支がいるのでは」「独法化したらどういう形でスタートするのか分からないと、議論にならない」「病院の縮小スパイラルに入っていく計画だ」などの意見が上がった。

 同病院事務局は「今の段階で、書くことのできる内容を一旦積み上げたもの。経営形態が変われば当然内容も変わる。一刻も早く方針を決めたい」「出来るだけ意見を反映し、素案をもう一度作りたい」とした。次回会合は20日に開かれる予定。

 市立病院の経営形態を巡っては、市は在り方検討委の答申について内部調査するなどとして方針をまだ決定していない。

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