【新たに生まれ変わる新医院のイメージ(提供写真)】

 開業より約40年間、地域の歯の健康を支えてきた三重県名張市桔梗が丘2の「桔梗が丘大門歯科医院」は、4月21日から同院の敷地内で新築移転オープンする。「快適に治療を受けてほしい」「良い環境で働いてほしい」との思いを込めた新医院のオープンを前に、同院のこれまでの歩みについて、大門弘治理事長(51)から話を聞いた。

 同院は、1979年に大門理事長の父・祥司さんが、桔梗が丘駅近くの同地に開業。大門理事長も1999年からともに診療を始め、これまでに2万人もの患者を診てきた。現在は歯科医師や歯科衛生士ら計19人が勤務し、一般・小児・審美・矯正治療など総合的に取り組んでいる。

 中でも特に力を入れているのがインプラント治療。大門理事長は最新の治療方法を学ぶため、海外の研修や学会に参加して技術を磨き、現在は講師として多くの歯科医師を指導するまでに。大阪大学や愛知学院大学の歯学研究科と連携し、全国の歯科医師とインプラントの共同研究をするなど第一線で活躍している。

治療体制 国からも評価

新医院の今後の展望について語る大門理事長=名張市桔梗が丘2で

 同院では、世界基準の滅菌管理体制を徹底している。可能な限り使い捨ての治療器具を使用し、それ以外の器具は袋に入れて高圧蒸気滅菌器で衛生状態を保つそうだ。これらの院内感染対策や、「地域医療連携」「安心・安全な歯科医療環境の提供を行う十分な装置や器具等を有する」など高い施設基準をクリアしたとして、厚生労働省が定める「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」に認定。同院によると、全国でも認定された施設は全体のわずか二割ほどだという。

 また、歯科医師や歯科衛生士を始め、歯科麻酔医や歯科技工士、トリートメントコーディネーターなど複数の専門家が揃う同院では、スタッフがそれぞれの業務に専任しつつも互いに連携し、患者の状況に的確に対応した医療を提供する「チーム医療」の考えを主軸にしている。スタッフ間の親睦を深めるため、毎年実施している食事会や海外旅行なども、チーム連携に良い影響をもたらすそうだ。大門理事長は「新しい医院でも、仕事だけでなく人間的にもスタッフ一丸となって、ともに成長していければ」と語った。

医療機器を一新

 1999年に建設した現在の建物は約20年の間、歯科治療の技術発展に伴う新設備を採り入れるため、診療室を広げるなど細かな改装を重ねてきた。建て替えは院長が理想とする診療の実現のため、これから先、設備のデジタル化に対応していく必要があると判断し、3年ほど前から計画していたという。

 周りからは「建物が奇麗なのにもったいない」といった声も上がったが、行動制限が掛かるコロナ禍にも関わらず、同院の徹底した感染対策を信じて利用する患者が増えたこともあり、厳しい情勢を支えてもらったことへの感謝の気持ちも込め、建設を決めた。

 新築は鉄骨造2階建てで、延床面積約450平方メートル。昨年7月から工事を進め、今年3月末に竣工した。院内はグレーを基調に落ち着きのあるシックなデザインにまとめた。夜間は最寄り駅の終電時間まで屋外照明が辺りを照らす。駐車場は旧医院跡地と、工事に際し臨時で使っていた第2駐車場を合わせ、計30台が停められる。一階の待合室はパーソナルスペースを意識し、長椅子をゆったりとした1人掛けの椅子に変更した。患者とのより綿密なコミュニケーションのため、カウンセリングルームも2か所に増やし、周囲に気を取られない話しやすい空間になっている。

落ち着いて過ごせるようにこだわった待合室(提供写真)

 診療台の機器も全て新しいものに入れ替え、台数も増やす。歯を削る医療機器は患者への負担が少なくなるよう設計され、水の消毒機能付きの高性能なものに。歯型取りの印象材を使わず、被せ物や矯正用マウスピースの設計ができる口腔内スキャナーも導入(自由診療)。これまでは外注し、数日かかっていたセラミックの被せ物や詰め物は、1日で治療を終えることもできるという。

スタッフの教育に力

 2階は従来通り、スタッフルームや在庫室としての用途が中心だが、広くなったスペースを活用し、講習会を開く場としての利用も構想している。患者にはインプラントの相談や子どもの歯科治療について、スタッフには外部講師から知識や技術を学ぶ研修会を企画しているという。

 同院を訪れる患者は、子どもから高齢者まで幅広い。子ども連れでも安心して治療を受けることができるファミリールームには、自由にタッチして画面の変化を楽しむ50インチのデジタルサイネージを新たに設けた。また、患者の高齢化に伴い室内用のスリッパを廃止。土足のまま院内に入れるようになり、靴の履き替えをする体の負担もなくなるという。

 新築への期待は患者に限らず、スタッフからも「早く働きたい」と声が上がっている。「新しい建物に見合うように、自分たちも成長していかなければ」と意気込む姿が見られ、同院も成長を支えようと、更なる教育システムの充実を考えている。

 大門理事長は「患者さんにもスタッフにも居心地の良い場所になる。建物も大事だが、一番大切なのは『人』。医院を安定して存続させるためにも、私も含めスタッフのレベルアップに努めていく」と思いを語った。

 営業時間は午前9時から午後1時と同2時半から同7時。移転に伴い15日から20日は休診で、15、16日は電話工事のため不通となる。

 問い合わせは同院(0595・65・5158)まで。<PR>

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