【制作した花炭を手にする青山さん=伊賀市山出で】

 農業を営む三重県伊賀市山出の青山喜美さん(50)は、木の実や葉をそのままの形で真っ黒に炭化させたオブジェ「花炭」を10年近く制作している。松ぼっくりなど定番のモチーフの他、畑で収穫した珍しい野菜を使った“変わり種”にも挑戦している。

 花炭は「飾り炭」とも呼ばれ、古くから茶道の世界などで観賞用として親しまれてきたもので、今でも脱臭炭やインテリアなどに使われている。ブリキやスチール缶に敷いたアルミホイルに材料を並べて火にかけ、水分を抜くことで炭化させる。

 青山さんは約10年前、雑誌で見た花炭の記事をきっかけに興味を持った。形が崩れにくいタケノコから始め、ブロッコリーやトウモロコシなどの野菜、イチョウの葉やタンポポの綿毛など繊細なものも炭にした。奇麗に炭化する焼き時間は素材によって異なり、1、2時間から大きいもので2日ほど掛かることもある。焼きむらができたり、灰になってしまったりと失敗を重ねながらも、試行錯誤を繰り返してきた。

 缶の蓋を開けて焼き上がりを確認する瞬間は「壊れていないか」といつもドキドキするそう。花炭はもろくて形が崩れやすいが、「はかないところも魅力」と青山さん。完成したものは近所にプレゼントしているという。

2023年1月28日付836号2面から

- Advertisement -