【広野さん方にともった「祈りの電飾」を眺める近隣住民=名張市富貴ケ丘1で】

 亡くなったがんや難病患者らを鎮魂する「祈りの電飾」が12月1日、三重県名張市富貴ケ丘1の広野光子さん(81)方で今年もともった。

 広野さんは、全国のがんや難病患者らで組織する「がんを明るく前向きに語る・金つなぎの会」の代表。情報紙記者だった1992年に乳がん、その翌年に卵巣がんが見つかり、94年には別の病気で夫が他界した。

 同年12月、追悼の思いから1本の庭木にクリスマスの電飾を付けたことがきっかけとなり、祈りの電飾を始めた。95年に同会を立ち上げて以降は、亡くなった友を思い、電飾の数を増やしてきた。

 29年目となる今年は、11月に入ってから息子2人に協力してもらって飾り付けた。雪の結晶や星、トナカイなどをかたどったLED(発光ダイオード)が外壁や植え込みに取り付けられ、明かりの数は約1万個。亡くなった会員の遺族から寄付された電飾もともる。

 今年3月、難病を患っていた70代の会員が亡くなったといい、広野さんは「長い間、一緒に戦ってきた人を亡くし、今年はとりわけ切ない電飾になった。この光を見て頂くことが、命の重みを考えるきっかけにもなれば」と話していた。

 点灯期間は、来年1月7日までの毎夜、午後7時から同9時まで。消費電力を抑えるため、例年より規模を縮小し、点灯時間を短くしたという。

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