【予定価格「1円」でプロポーザル方式の入札実施が発表された大山田温泉さるびの=伊賀市上阿波】

 三重県伊賀市は10月18日、市有温泉2施設を売却するため、提案内容などを総合評価し決める公募型プロポーザル方式の入札を実施すると発表した。「大山田温泉さるびの」(同市上阿波)の予定価格は、10年以内に必要な更新や修繕の費用が土地、建物などの鑑定評価額約1億8816万円を上回ることから予定価格を「1円」に設定した。

 もう一つの施設「島ヶ原温泉やぶっちゃの湯」(同島ヶ原)は鑑定評価額が約3億9039万円に対し、更新や修繕費が2億6639万円であることから予定価格を差額分の約1億2400万円とした。両施設は現在、地元地域が主体となり法人化した公社が指定管理で運営。昨年12月の市議会定例会で市が提案した両公社に無償譲渡する議案が否決され、市は施設の売却などを検討していた。

 市資産経営課によると、今年8月に他の温泉やホテル、キャンプ場の経営、不動産事業など100社を対象に対話による市場調査を実施し、そのうち24社が回答。両施設とも貸付より売却の可能性が高く、「宿泊施設やアクティビティを追加整備できれば活用の可能性がある」との意見が複数あったという。

 売却の条件は、契約日から最低10年間は温泉施設として経営する▼地域振興拠点として地域住民の活動やイベント開催などに協力する▼地元雇用への配慮など。施設の指定期間は2025年3月末までとなっており、同課は入札が不調だった場合について「期間終了後は閉館も致し方ない」と話す。

 公告と募集要項の配布の時期は11月、プロポーザル審査は来年1月、仮契約締結は同2月の予定。今月下旬にそれぞれの地元で説明会を開く。

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