【教室で指導する中川さん(右)(提供写真)】

「子どもたちの可能性は無限大。楽しいことが上達への近道」。三重県名張市内や奈良県内で幼児・小学生向けの体操教室を開く中川純さん(34)は、競技経験者ではない「体操のお兄さん」だ。子どもたちの気持ちに寄り添い、体操の楽しさを分かりやすく伝えている。

 宇陀市出身で、大阪社会体育専門学校を卒業後、幼児向けスポーツ体操や体操教室などを運営する企業に就職し、近畿各地で出張教室の講師として活動していた。出張先の園長から「保育園の先生に向いてるんちゃう?」と勧められたのをきっかけに転身を考え、短大で幼稚園教諭や保育士の資格を取得してからは大阪のこども園、宇陀市の幼稚園に1年ずつ勤務した。

 家庭を持つタイミングで就職した奈良県内のスポーツクラブではトレーナーや体操コーチを3年ほど務め、独立したのは昨年。名張市内に転居し、別に仕事を持ちながら、名張、宇陀市と桜井市の教室で週1回ずつ指導する。コロナ禍で中断していた時期もあったが、生徒は3教室で計40人以上おり、跳び箱やマット運動、鉄棒を中心に教えている。

 「できた楽しさや失敗した悔しさを自然に味わい、自然にうまくなっていってほしい」。例えば、初めての技に挑戦する子には、一つひとつの動きを分解して教えるなど、いかに分かりやすく伝えられるかを大切に考える。その理論は、幼児教育を学び、現場で子どもたちと接してきたからこそ身に着いたものだ。

 昨年、自身も親となり、「けがをせず、来た時と変わらず家に帰れるのが一番大事」と思う気持ちがひときわ強くなった。家族、仕事、体操と、さまざまな縁あって暮らす名張は「良い人たちと出会い、良い人生を送れている大切な場所」と実感している。

2022年4月9日付817号15面から

- Advertisement -