【黒塗り部分が目立つ伊賀市が部分公開した内部調査報告のコピー(森中市議提供)】

 三重県伊賀市が入札回避のため分割発注で随意契約したことにより適正価格以上になった可能性を指摘する同市議会の森中秀哲市議(59)=草の根・無所属フォーラム=は3月28日、情報公開請求で市が開示した資料が「ほぼ全てが黒塗りだった。問題の全容をしっかり把握しないと前に進めない」とし、部分公開の決定取り消しを求め、岡本栄市長に不服審査請求書を提出した。

 市が交付した部分公開決定通知書によると、「小額随意契約等内部調査報告」の中で公開しない部分は▼整理番号▼件名▼備考の一部の箇所。資料は計5枚あり、市は担当部と課、年度だけ公開した。公開しない理由は「条例7条6号の規定により、事実誤認等で企業の社会的な信頼を失うなど不利益を及ぼし、市と企業間の信頼関係を損なうなど今後の事業の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあるため」としたのに対し、森中市議は「該当する規定は見当たらない」との見解を示した。

 部分公開された資料について、森中市議はマニュアルに沿っていない「不適切な見積もり取得」が建設部や教育委員会、上野総合市民病院、健康福祉部などに多く、「行政の広い範囲で行われていた実態が確認できた」と指摘。また、備考欄の一部に「一者に対する相見積依頼」「1業者に対して他にもう1者(2者)の見積書を用意してもらうよう依頼」などと記載されていた点について「官製談合防止法に抵触するおそれがあり、重大な法的リスクを伴うものと認識すべきだ」と訴えた。

 一方、契約監理課が24日に市議会議員全員協議会で説明した市の内部調査委員会による報告では、2020年4月から21年10月の間に発注した10万円超から130万円以下の少額随意契約計1029件を対象に調査し、同じ担当部署で時期や内容、場所が近かったのが308件、まとめて発注できたのが91件、改善の余地があったのが21件あった。マニュアルに沿っていない見積もり取得は837件に上った。

- Advertisement -