三重県伊賀市馬場の陽夫多神社(神田忠彦宮司)で2月18日、ふんどし(下帯)姿の男たちが肩を組んで押し合い、五穀豊穣や家内安全などを願う祈年祭の神事「裸々押し」があった。新型コロナの影響で、昨年に続き氏子青年会のメンバーなど少人数で行ったが、参加者たちは「わっしょい、わっしょい」と声を掛けながら輪になって拝殿でぐるぐると押し合った。
この神事は、天正年間の16世紀末に始まり、2つの地区に分かれた氏子同士が押し合ってその年の収穫の具合などを占ったと伝わる。近年は氏子ら以外にもスポーツ少年団の小学生や近隣からの一般参加者ら数十人が加わっていたが、感染予防のため昨年も小規模で実施していた。
津地方気象台によると、18日午後8時の同市の気温は1・9度。社務所でふんどしに着替え、マスクを着用して臨んだ参加者たちは、拝殿まで石段を駆け上がってお払いを受けた後、拝殿へ下りて肩を組んで輪になり、声を掛けながら10分間、片足で飛び跳ねて回った。
参加者らはひとしきり押し終わると、「家内安全で打ってくれ」「五穀豊穣で打ってくれ」などと「裸々押し歌」を歌って祈願し、最後には本殿に向かって礼をして締めくくった=写真2枚目。
同神社の氏子青年会「陽青会」のメンバーで、3回目の参加だった同市波敷野の自営業、前田三千仁さん(42)は「寒さもあってすがすがしかった。オリンピックの盛り上がりにも負けない気持ちで押せた」と振り返り、「自分だけでなく地域全体が良くなるよう、新型コロナが早く収束してくれるよう願っている」と話していた。
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