【映画「総理の夫」の企画・プロデュースを手掛けた谷戸さん(提供写真)】

9月23日全国公開

 俳優の田中圭さん、中谷美紀さんが夫婦役で主演する河合勇人監督の映画「総理の夫」(東映、日活配給)が9月23日に全国公開。企画・プロデュースを担当したのは三重県名張市本町出身の谷戸豊さん(31)だ。

映画「総理の夫」のポスタービジュアル(©2021「総理の夫」製作委員会)

映画の方向性決める

 小中学校では野球に明け暮れた。上野高校時代は「将来はスポーツのメンタルトレーナーみたいな仕事をやってみたいかなあ」とぼんやり考えていたという。慶応大学商学部に進学したのを機に上京。3年生の時、1年休学して、海外へ放浪の旅に出た。ワーキングビザを取得し、働きながら、ヒッチハイクでカナダや米国を横断。シベリア鉄道でロシアも横断した。

 復学後は「仕事を新しい趣味にしよう」と就職活動を開始。興味があって志望した、映画を製作、配給している日活株式会社に内定が決まると、毎日映画を見て、本も読み、猛勉強したという。

 入社は2014年。映像事業部門の企画編成部に配属され、新米プロデューサーとしての一歩を踏み出した。仕事内容は多岐にわたる。映画を企画し、脚本家・監督・キャストの手配、予算組みや資金集めも行い、更には宣伝方法も考える。作品がどうあるべきか、どういうものにしていくか、全体の方向性を決めていくのだという。

 17年に公開された間宮祥太朗さんの主演作「全員死刑」でプロデューサーデビュー。その後、中村倫也さんの主演作「水曜日が消えた」、のんさんの主演作「私をくいとめて」など、今作の「総理の夫」が5作目の映画プロデュース作だ。

 映画は女性初の総理大臣と夫の物語で、「パートナーがいる中で生きていくのはどういうことか」「仕事とはどういうことか」というテーマが描かれ、「100年後に残ればいい」ことを意識したという。

「若者に見てほしい」

 谷戸さんは「『パニック巻き込まれ芸』を演じたら日本一」という田中さんや、女性総理としての中谷さんの「説得力ある」演技にも注目してほしいという。「一見、政治がテーマのように思えるが、自分の将来について考える要素がたくさん詰まっているので、特に若い人に見てほしい」そうだ。

 新型コロナウイルスの影響を受けた生活が続いているが、「コロナ禍だからこそつながった人や始めた趣味もあり、楽しめている」と話す谷戸さん。11月にはフリーアナウンサーで女優、田中みな実さん主演の映画「ずっと独身でいるつもり?」の公開が控えている。

 今後もプロデュ―サーとして各世代の心に残る映画製作を続けながら、「映画音楽も担ってみたい」といい、「映像を引き上げる力と奥深さを与える音楽を、自分で生み出すことができたらどれほど楽しいだろう」と胸を躍らせている。

2021年9月25日付804号1面から

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