【(左写真)カンノンチクの花(右写真)花の場所を手で示す上田さん=名張市さつき台2で】

まるで〝我が子〟

 三重県名張市さつき台2番町の上田昭恵さん(84)が玄関先で育てている鉢植えの「カンノンチク」が、初めて花を咲かせた。育て始めてから36年目の開花に、近所の人からも感嘆の声が上がっている。

 小型のヤシ科の観葉植物で、開花は30年に一度とも言われるほど珍しく、「一生に一度でも開花が見られたら幸運」だという。大阪から同市に引っ越して26年になる上田さんは、その10年くらい前、10㌢ほどの丈のものを譲り受け、日差しや風通しなどに注意し、株分けも積極的に行った。「おはよう」「ただいま」と声も掛けるなど“我が子”のように育て、今では約150㌢の高さに成長した。

 6月20日早朝、新聞を取りに出たところ、ピンク色が目に入った。よく見ると、鉢から生えている数本のうち2本に粒状の花が咲いていた。「まさか咲くなんて」と、突然のことにびっくり。離れて暮らす娘たちに報告すると「すごいね」と喜んでくれた。開花を聞きつけ、訪れた近所の人も「うそみたい」と、初めて見る花に感慨深げだったという。

 上田さんは「これからが楽しみ。今年はいいことがあるかも」と笑顔を向けた。

2021年7月10日付799号1面から

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