【改装中のワークスペースに立つ森田さん(左)と伊集さん=名張市木屋町で(6月30日撮影)】

リモートワーク需要に対応

 コロナ禍でテレワークが広まる中、在宅勤務には無い高い機能性と利便性を備えたシェアオフィスやレンタルオフィスの利用が高まっている。ここを単なる仕事のスペースではなく、利用者である法人や個人事業主などが互いの経験やスキルを交換し、共通の目標に向けて「協働」していく場として活用するための「コワーキングスペース」が注目されている。

 三重県の伊賀地域では初めてだという本格的なコワーキングスペース「akeruto(アケルト)」が7月11日、名張市木屋町にお目見えする。「扉を開ける」「幕を開ける」「夜が明ける」から名付けられ、新しく切り拓く意味を込めている。

個別ブース

 市道を挟んでイオン名張店(同市元町)に面した元銀行の2階フロアを改装した。広さは250平方メートルで、円形や横長のテーブルを十数人で利用できる「フリーアドレススペース」の他、視線を遮り、プライバシーが保てる1人用の「個室」が7室、テレワークに利用できる「リモートブース」が2室、更にセミナーなどで30人ほどが使える大会議室もある。

 受験生など学生の利用も可能で、利用料は共同スペースが月5000円(学生3000円)、個室は月1万5000円から(いずれも税込み)。1日だけの利用も可能だ。

 将来的には、利用者が懇談できる「カフェスペース」や、起業する人のために、独立するまでのトレーニングを兼ねてチャレンジ店舗を開設するスペースも設ける計画だ。

 今年1月、地元の経営者など5者が出資し、「akerutoプロジェクト」を発足した。共同経営者の一人、森田淳さん(48)は、同市八幡で「まなびとステーション名張」を運営し、キッズプログラミング教室などの学習支援やコンテンツ開発事業を展開している企業家だ。同じく共同経営者の伊集基之さん(49)は、同ビル1階で「株式会社アサネットワーク」を経営し、新聞配達事業、ライフサポート、宅配、各種カルチャー事業などを手掛けている。

 プロジェクトの発足に当たり、2人は「名張には新しいビジネスやプロジェクトを生み出すための環境づくりが必要。その手助けをしよう」と意気投合。2人によると、住宅団地として成長してきた同市には、人口に比べて事務所や店舗などが少なく、起業を志す若い人も、事業を立ち上げる場所や支援者が少なく、つまずいてしまうケースがあるという。

大会議室

地元拠点にビジネスも

 「プログラマーやデザイナー、技術者などで活躍している地元出身者も多い。こうした人が地元に戻ったり、地元を拠点にビジネスを展開したりすることで地域活性化に結び付けたい」と伊集さん。

 現在、運営資金の獲得と名張の知名度を上げる目的で、1口500円からのクラウドファンディングを実施している。森田さんは「当面の目標は、常時20人ほどの利用者を確保すること。2、3年後には、市内に独立した事務所を構え、人を雇用してビジネスをスタートさせる人材を送り出すのが目標」と話した。

 同プロジェクトでは、起業家やフリーランス、在宅勤務者、学生などさまざまな立場の利用者とともに、利用者にサービスや食事を提供したい提携者も併せて募集している。

 問い合わせは森田さん(0595・28・0844)へ。

2021年7月10日付799号10面から

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