【ういろうと四番粉を手にする中崎さん=名張市美旗中村で】

 美旗産のソバで作った「ういろう」をどうぞ―。三重県名張市東部の美旗地区の休耕田で栽培されているソバを使った和菓子が、昨春から伊賀地域の農産物直売所やスーパーに並んでいる。同地区で唯一のソバ生産者でもある同市美旗中村の中崎正績さん(69)、郁代さん(67)夫妻は「栄養バランスの良いういろうで、そばの風味を楽しんでもらえたら」と期待を寄せている。

 中崎さんが50代後半で早期退職した後、最初は所有する田でソバの栽培を始め、風雨や水はけなどに苦労しながら少しずつ作付けを増やしてきた。今では近隣住民から頼まれた耕作地など計3万3000平方メートルほどで年1回栽培し、そば粉として販売していた。

 昨年1月、津市内であった農機具展示会で、ういろうやようかんなどを製造する「五ツ橋製菓」(本社・名古屋市中村区)の担当者と知り合い、「珍しい材料を使ってういろうを作りたい」「うちで作っているソバはどうか」と話が進んだ。中崎さんは、そば打ちに使う一番粉から三番粉ではなく、皮に近く風味の強い四番粉を原料として納入している。

 同社によると、試作当初は、そば粉を多く使ってみたところ、粘りが強すぎて充填できなかったという。米粉・砂糖(北海道産テンサイ糖)とそば粉のバランスを、包装時に充填しやすく、かつ適度な粘りと風味が生きる割合に調整し、約4か月の試作を経て商品となった。

 そば粉以外で商品になったのは初めてだといい、2人は「単に減反対策の景観作物に終わらず、商品として消費者に届けられるようになったことで、ソバの栽培に可能性が感じられるようになった。健康を気にされる方など、多くの人に味わってほしい」と思いを話した。

2021年5月15日付795号11面から