【商品を紹介する田中工場長(左端)と従業員たち=伊賀市炊村で】

 新型コロナウイルス感染症対策で、日常の一部となった手指消毒。「摂津金属工業所」(本社・大阪府東大阪市)の三重工場(三重県伊賀市炊村)が、ボトルに触れず消毒でき、オフィスや美容室、カフェなどおしゃれな空間にもなじむ足踏み式消毒スタンドを商品化した。コロナ禍で従来品の受注が減るなか、「ものづくり」への意欲を高める従業員たちの語らいがきっかけとなり、同工場として初の自社商品が生まれた。

 従業員数15人の同工場は、市内の自社別工場で生産したスチールパイプを加工し、オフィス家具やスーパーの陳列棚などを受託生産してきたが、昨春は新型コロナウイルスの影響で注文が落ち込んだ。そんな時、昼休憩中に一部の従業員たちが「仕事を受けるだけではなく、自分たちで何か商品を生み出せないか」と話し合った。

 さまざまな案が出る中、世間に出回っている足踏み式スタンドは無機質なデザインが多いのではという話になった。そこで、モダンなオフィス家具を手掛けてきた加工技術を生かし、田中道明工場長(42)の下、「かっこいい消毒スタンド」を作るべくプロジェクトが発足した。

 設計とデザインは開発部の常岡泰治さん(45)、製作は製造技術部の中矢和可さん(28)が中心となった。通常の仕事の合間にいくつも試作し、ペダルの大きさや全体のバランスなど改善を重ねた。半年以上の期間をかけ今春、完成にこぎつけた。

 新商品は、高さ約100センチから120センチ。丸パイプを逆U字に曲げた上部のデザインが特徴的で、光沢を抑えた黒塗装で全体をクールに仕上げた。消毒ボトル設置部分の高さをネジで調節でき、17センチから30センチのものまで対応できる。常岡さんは「シルエットにこだわり抜き、ようやく納得できる品ができた」、中矢さんは「自分たちの加工技術を詰め込んだ。さまざまな場所で使ってほしい」と話す。

 価格は1セット2万5000円(税抜)。

 問い合わせは同工場(0595・46・1380)まで。

2021年4月24日付794号11面から

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