名張市の錦生・赤目地区で魅力ある地域資源を見つける「魅力再発見プロジェクト」に参加した、同市春日丘の大学生、重森花音さん(19)。大阪や神戸に住む友人3人とともに、今後の地域づくりへ向けた提案を発表した。【稲刈りを体験した重森さん(右から2人目)と学生ら(提供写真)】

「滝川YORIAI」の事務所で話す重森さん

 同プロジェクトは、赤目四十八滝キャンプ場(同市赤目町長坂)を運営する一般社団法人「滝川YORIAI」が企画。若者の感性で地元の資源を再発掘し、地域づくりのアイデアを出してもらうのが狙いだ。

 重森さんは、おじで同法人の代表理事、重森洋志さんに声を掛けられたのを機に、同じ大阪経済大(大阪市東淀川区)に通う友人と参加した。

 9月初旬、同キャンプ場に泊まり、毎日2班に分かれて1週間のリサーチを開始。地区内にある市郷土資料館や赤目四十八滝を始め、カフェやジビエ料理店、農家などを訪れ、話を聞いた。

伊賀米に感動

 「なすび田楽や芋煮など、地元の手作り料理をごちそうになり、生まれて初めて稲刈りも体験した」と笑顔で話す重森さん。最も感動したのは、伊賀米ができるプロセスと新米のおいしさだったそうで、「産地外では知名度が低く、農家の希望する価格で販売できない現状も知った」と振り返る。

 区長らも参加した成果発表会では、重森さんの班は「増え続ける空き家を拠点に、新米おにぎりの直販や米の量り売りなどを通じ、伊賀米を積極的にPRしてイメージアップにつなげる」ことなどを提案。もう1つの班は、将来店舗を持ちたい若者たちが、自ら製作した商品を販売するチャレンジショップを空き家で実現することを提案した。

 発表を聞いていた赤目まちづくり委員会の亀本和丈会長は「この地域には耕作放棄地や空き家が多く、景観・防犯上の問題から、その活用法についても具体的な説明を受けた。彼らの気付きを素直に受け止め、今後の地域づくりの糧にしていきたい」と話す。

 「4人の若い感性で、地域の活性化に一石を投じてくれた」と評価している同法人では、今回の試みを機に、地域の課題を抽出してビジネスにつなげるための「経営塾」を週1回始めた。

 重森さんは「今回の体験を通して、新しいものの見方を習得できた。地元・名張の魅力を広く、継続して伝えていく大切さを感じている」と話した。

2020年11月21日付784号11面から

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