伊賀市千戸の成瀬美弥子さん(62)方の畑で栽培しているサトイモが、珍しい花を咲かせた。義母のチズさん(98)は目を丸くしている。【サトイモの花に見入るチズさん(右)と成瀬さん=伊賀市千戸で】

 成瀬さん方では20年ほど前から毎年サトイモを栽培。今年植えた23株のうち、8月になってつぼみのようなものが7株についた。しばらく観察していたところ、15日にミズバショウに似た長さ約30センチの筒状の黄色い花が咲いた。成瀬さんにとっては初めて見る花だったが、チズさんに見せたところ、「10代のころに実家で見て以来、2度目だわ」と記憶がよみがえった。

 チズさんの実家は同市中馬野で、芋類を貴重な食糧としていた戦前は、近くの山の斜面に穴を掘ってサトイモやサツマイモなどを貯蔵する「芋穴」を設けていたという。ある時、その場所から葉が伸び、花を咲かせた。チズさんは「見たことのない花だったので、まぶたの奥にその光景がはっきり残っている。80年近く見なかった花をもう一度拝めるとは」と驚きを語る。

長梅雨が影響?

 三重県農業研究所(松阪市)によると、サトイモは東南アジアなどが原産の熱帯の植物で、日本の夏は日照時間が長いため、通常花は咲かないが、今年は梅雨が長く、条件が整ったため開花した可能性があるという。

 成瀬さんは「花からはほのかに甘い香りがする。『繁栄』という花言葉があるので、何か良いことがあるといいな」とほほ笑んだ。

2020年9月12日付779号2面から