新型コロナウイルス感染の第2波の発生が危惧されるなか、病院、事務所、家庭向けに洗浄剤や消毒剤など衛生用品を製造・販売しているサラヤ株式会社(本社・大阪市)(更家悠介社長)の伊賀工場(伊賀市安場)を緊急事態宣言が解除された後の6月初旬に訪問、生産状況などを聞いた。【生産する消毒剤を持つ山田工場長(右端)と各責任者の皆さん=伊賀市安場で】

5月は前年比2・3倍

 感染が広がり始めた今年2月以降、同工場では稼働時間を約6時間増やし、従来の2交代制から3班で24時間、3交代制の「3直3交代制」に生産をシフトした。「手指消毒用アルコール洗浄剤の5月の生産実績は、全社で前年比約6倍に増加。病院向けの医薬品として消毒・殺菌剤を生産している伊賀工場は前年比2・3倍のペース。市場や政府からの要請に対して、商品の供給責任を果たすことが私たちの義務」と話すのは、2年前に同工場に転勤してきた山田幸雄工場長(59)。1996年、大阪で発生したO157の大規模食中毒の時は大阪工場の生産担当者として、また2009年の新型インフルエンザ発生時にはタイ工場の責任者として非常事態を乗り切った経験があるが、「今回ほどの厳しい状況は初めての経験」と話す。

 「新型インフルエンザの時は有効なワクチンが開発されていたが、今回の新型コロナはワクチンや治療薬がまだ開発されていない。緊急生産体制がいつまで続くのかという不安がある」と山田工場長。現在、非正規社員を含め約350人の人員で週40万個を生産しているが、まだ需要に追い付いていない。
 同社は大きく5つの分野に衛生商材を供給している。

病院から需要拡大

 1つ目は医療分野で、施設内の衛生管理の他、医師や看護師などが使う手指消毒用、手術室などで使う消毒液など、厳しい衛生管理が求められる分野だ。2つ目は福祉衛生分野で、特別養護老人ホームやデイサービスなど、3つ目は一般企業や官公庁、交通機関など、4つ目がスーパー、コンビニなどの食品業界、そして5つ目が一般家庭用。「当初は病院関係から始まり、徐々に福祉施設、事業所へと需要が広がった。特に5月下旬に緊急事態宣言が解除されたことで、今まで休校していた学校や休業要請が解かれたスーパーなどへの供給が増えている」と、山田工場長。

 新型インフルエンザが流行した時、同工場の製造課で働き、現在は資材と生産管理部門を総括する古川雄二課長(48)は「生産の自動化も進み、当時と比べると7割の人員で約2倍の生産量を実現している。メーカーとしての使命感を持って仕事をしたい」。

供給責任果たす

 250人の作業者を抱えてラインを管理する製造課の東久保好紀課長(39)は「厳しい勤務状況が続くなか、全員の体調面を気遣いながら、品質を落とさずにお客さまに商品を届けたい」と話す。

 3交代にシフトした当初、「人の確保に大変苦労した」と話す総務課の隈本正樹係長(41)、また製造課の福田昌恵係長(48)は「これからは機械のオペレーターなど専門人材の育成が課題」だという。

 伊賀工場では、管理棟や製造棟の入口に手洗いと殺菌・消毒用の設備があり、これが出入口のドアの開閉と連動、手洗いをしなければ中へ入れない。工場内のマスク着用、会議室や食堂での3密の防止などにも力を入れている。

 山田工場長は「拡大する需要に応えるため、当社として3月に展開した国内3つ目の関東工場(茨城県)や本社の営業部門と連携しながら、お客さまごとに商品の安定供給を図っていきたい」と話している。

2020年7月25日付776号12、13面から