伊賀市猿野の澤正子さん(76)が自宅の庭で育てるさまざまな種類のアジサイが、今年も鮮やかに花を咲かせた。「幻のアジサイ」と呼ばれるシチダンカは、澤さん方では上手く咲かなかったが、過去に挿し木を分けた近所の黒田みちさん(75)の畑で咲き、2人の話にも花を咲かせている。【庭で咲いた数多くのアジサイに囲まれる澤さん】

「見るだけで優しい気持ちに」

 澤さんは20年ほど前、知人から譲り受けたシチダンカやクレナイヤマアジサイなどの挿し木を庭に植えたのをきっかけに、花の魅力にとりつかれ、さまざまな種類を育ててきた。

 多い時には33種類、約250株を栽培し、近くの温泉施設に苗木などを出荷していたが、近年は自宅で楽しむ程度にしている。それでもカムイやヤエカシワバ、ブルースカイ、ミカワチドリなど、珍しい約30種が庭や畑を彩っている。

 シチダンカは江戸時代のドイツ人医師シーボルトが日本植物誌で紹介し、その後存在が確認されなかったが、1959年に六甲山(兵庫県)で見つかり、その後各地に広がったという。

開花したシチダンカを見て談笑する澤さん(左)と黒田さん

 10年ほど前に澤さんからシチダンカを譲り受けた黒田さんは「人から頂いたものが花を咲かせると、何とも言えないくらいうれしい」と話す。旅行先で珍しいアジサイを見かけると、澤さんのために苗木を買って帰るのだという。

 長年の間に澤さんが分けたアジサイは、今では近所の家々や地区の花壇にも広がっており、梅雨の猿野地区は多種多様に彩られている。澤さんは「しっとりとした梅雨の時期に咲くアジサイは、見ているだけで優しい気持ちになれる。一番好きな季節に咲く、大好きな花」と話した。