高級な仕立服を手掛けるアトリエで培われたフランス伝統の刺繍の一つ「オートクチュール刺繍」。作家として活動を始めた名張市桔梗が丘1番町の岩本佐江子さんが、一針ひと針心を込めて仕上げた作品が話題になっている。【作品の数々を紹介する岩本さん=名張市上長瀬で】

フランス伝統の技 工房も開設

 幼いころからハンドメイド好き。洋裁をしていた母を手伝ったり、自分でも服を作ったりしてきた。長女が新体操をしていた中学時代は、その衣装も手作り。スパンコールやビーズなどを使って、自己流に刺繍もした。

 「いつか娘のウェディングドレスも手作りしたい」との思いも膨らみ、3年前に一念発起して教室の門をたたいた。大阪と名古屋の教室には今も月に1度ずつ通う。

 創作には特殊なかぎ針「クロシェ針」を使う「リュネビル刺繍」や手刺繍「マントゥーズ法」という方法で、多種多様な材料を利用する。デザインは花をモチーフにしたオリジナルが多数。なかには夫がデザインした絵を刺繍するなど、夫婦一緒に楽しんでいるという。

 これまでにブローチやバッグ、壁掛けなどを制作。長女の成人式にはコサージュやアクセサリーを手作り。2次会で着用した衣装も、岩本さんの母の服をリフォームし、刺繍を施した。

 昨年から今年にかけてオートクチュールビーズ刺繍ジュエリー技能認定(生涯学習開発財団認定)や小枝アクセサリーなど数々の講師資格を取得。「FULLMOON&GOLDENFISH(フルムーン・アンド・ゴールデンフィッシュ)」という作家名で祖父の家があった同市上長瀬に工房を構え、出張教室も開始するなど、活動は広がってきている。

 岩本さんは「オートクチュール刺繍を大勢の人に知ってもらい、ほっこりできる場を提供していくのが夢」と笑った。

2020年3月14日付 767号 7面から

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