今夏の東京オリンピック・パラリンピックに向け、3月から7月まで日本各地を聖火が巡る。4月9日には伊賀市の伊賀上野城から市役所までの5・1キロを25人、名張市は赤目四十八滝の不動滝から赤目キャンプ場までの1・6キロを11人で聖火をつなぐ。公募で選ばれた伊賀地域のランナー2人を紹介する。【(左写真)手裏剣を手に笑顔の渡邉さん=伊賀市の伊賀流忍者博物館で】【(右写真)応募の経緯を話す梶谷さん=名張市赤目町長坂で】

“忍びの道” 節目の年に 伊賀市・ 渡邉未央さん

 伊賀流忍者博物館(伊賀市上野丸之内)で忍者ショーを実演している「伊賀忍者特殊軍団 阿修羅」の一員、渡邉未央さん(32)。大学卒業後に〝忍びの道〟へ進んで10年目、器械体操仕込みの技だけでなく華麗なパフォーマンスを披露している「くノ一」が、節目の年に聖火ランナーを務めることになった。

 岐阜県恵那市出身で、小学1年から東京女子体育大時代まで器械体操に打ち込み、国体や高校総体、全日本学生選手権などにも出場。体育教員の道もあったが、「体操の経験を生かせる仕事を」と考えるなか、体操教室で知り合った阿修羅の浮田半蔵さん(60)からの誘いや、姉の「忍者は今しかできない」という言葉に背中を押されて入団を決めた。

 今回は母が本人に内緒で応募していたため、当選の知らせには驚いたそうだが、「体操を続け、忍者をやってきたからこそ聖火ランナーにもなれた。10年やってこられたことへの感謝と、たくさんの方に『三重には忍者の里・伊賀がある』ことを伝えたい」と意気込みを話した。

赤目滝で半世紀「感謝を」 名張市・ 梶谷穣さん

 名張市の赤目四十八滝渓谷の玄関口で半世紀にわたって店を構え、訪れる人たちのために美化活動を続けてきた、梶谷穣さん(86)=赤目町長坂=は県内最高齢で聖火ランナーに選ばれた。1964年の東京五輪は「店が忙しくてあまり覚えていない」と振り返るが、「地元の子どもたちにもオリンピックや聖火リレーを見てほしい」と意欲を燃やしている。

 同市南古山出身で、結婚後に現在の自宅の場所で食堂「満月」を開業。温泉街の入口で「ドライブイン赤目」を営み、多くの観光客を迎えると同時に、30年ほど前からは、渓谷入り口の県道周辺でごみ拾いや落ち葉の清掃などを日課にしている。「毎日仕事をして、掃除もしてきたから足腰が丈夫なのかな」と笑う。

 聖火リレーが名張でも行われることを知り、「赤目滝がコースになってありがたい。当選しなくても何か助けに」と応募。通知が届き、真っ先に足が向いたのは仏壇と墓だった。「これまで大きな病気やけがもなく、こうして聖火リレーに参加させてもらえることに感謝したい」と、大切な家族への思いも胸に刻む。

 各ランナーの区間は2月中旬以降に本人へ通知される予定。

2020年1月11日付 763号 10面から