「自給自足を基盤にした生活がしたい」と、祖父母が住んでいた伊賀市上友田に東京から転居して4年目になる山尾太郎さん(39)。アルバイトを続けながら、稲作や狩猟、養蜂など、家族が自給自足できる環境を整えている。【育てている巣箱の蜂を見せる山尾さん】

東京から移住 養蜂や狩猟も

 東京生まれで、広告会社勤務を経て都内でオーガニック野菜店を起業。そんな時、東日本大震災を経験した。

 ボランティアで被災地に足を運ぶうち、地に足を付けた農家の人たちの生き方と、都会での暮らしにギャップを感じた。「何があっても生きていける“ぶれない”生き方がしたい」。自給自足の生活を思い描き始め、米作りや狩猟などの勉強に打ち込み、狩猟免許も取得。妻を伴い、伊賀へ居を移した。

 田に稲を一本一本手で植え、畑に大豆と小麦を植えた。鶏も飼い始め、秋には収穫した米をはさがけに。狩猟の季節にはイノシシと鹿を仕留めにも行く。

 ニホンミツバチとセイヨウミツバチの養蜂も始め、近所の人から「巣があって困っている」と聞けば撤去を兼ね、保護に奔走する。収穫した大豆でしょうゆやみそなどの調味料も作る。小麦をひいて、ハチミツと産みたて卵で焼いたパンケーキは家族に評判だ。

 現在も少しずつ自給自足の環境を広げ、今年2月には第2子も誕生した。「子どもたち、そして日本のもっと先の未来を考えたい。まだ勉強中だけど、大事なのは一つずつやっていくこと」と話した。

2019年7月13日付751号3面から

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