古布や端切れ、使わなくなった洋服などを使い、趣味で服やかばん、アクセサリーを作り続けて60年。そんな伊賀市上野向島町の奥谷愛さん(85)が主宰する「工房あい」に集まる女性たちの作品が、6月1日から3日まで奥谷さんの自宅で展示される。【作品を手に来場を呼び掛ける(左から)桑野さん、奥谷さん、中森さん=伊賀市上野向島町で】

 若いころに洋裁を学び、子育てが一段落した20代半ばからは、さまざまな技法・ジャンルの〝師匠〟のもとで技術を学び、服やかばんなどの手作りを始めた。気さくで見識の広い奥谷さんのもとには、自然と人が集まるようになったという。

 現在は月に1回、奥谷さん方に60、70代の10人前後が集まり、和気あいあいと制作やおしゃべりを楽しむ。「思いが強くて捨てられない」「使わないけれど手元に置いておきたい」という洋服や素材を持ち寄ることも多く、ジャケットや蚊帳などをリメークした洋服やかばん、伊賀焼や伊賀くみひもを使ったアクセサリー、かごや箱などをアレンジした一閑張などを思い思いに仕立てている。

 長らく奥谷さんに師事する同市法花の中森知子さん(78)と同上野忍町の桑野定子さん(68)は「知識や技術が幅広く、どんな素材をどう生かすかを教えてくれる。いい勉強になっている」と口をそろえる。既製の洋服が手に入りにくかった時代、母親が夜なべして服を仕立ててくれた記憶も「こうすれば生かせる」という発想を生む助けになっているのだという。

 奥谷さんは「作る過程は手間も時間もかかるが、完成して手に取るとうれしい。自分が手作りを始めて60年という節目に、皆さんの作品を多くの方に手に取ってほしい」と来場を呼び掛けている。

 展示は各日午前10時から午後5時まで。入場無料。期間中は駐車場あり。作品は販売もする。

2018年5月26日付724号1面から

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