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 伊賀市が周知した計画時期よりも2年以上前倒しで施設を廃止する条例案を3月定例会に提案している。一方、図書購入費が削減に向かうなか、計画にない歴史資料を急きょ買い求め、市教育委員会がその約1年後の今月になって文化財の指定を発表した。手放すか、手に入れるか。異なる市の判断だが、市民の目にはそれぞれどう映るだろうか。【廃止条例案が出ている市営プール】

人気の市営プール 芝生広場に
 3月末で廃止の条例改正案が出ているのは3か所ある市営施設で一番人気の上野運動公園プール(小田町)。昨夏は装置の老朽化で50メートルプールの使用を休止し、幼児用と25㍍プールだけ開放した。
 目的は市町村合併で膨らんだ”ハコモノ”の保有量削減だ。計画では廃止が2020年度から4年間としていたが、3年後の地元国体に向け敷地面積約6000平方メートルの跡地を芝生広場に変更する方針だという。
 市スポーツ振興課によると、装置の更新費は約540万円。昨夏の利用者数は前年より2174人減ったが、26日間で2553人、1日当たり98人の来場があった。競技団体には廃止を前倒しする意向を伝えたが、一般利用者には意見を聞く場を設けなかった。
 同課担当者は「大山田地区と阿山地区にある市営や民間のプールを使ってもらえる」と説明。市内の会社員男性(47)は「毎年夏休みに家族で5回以上利用しているが、突然使えなくなるとは。民間は料金が高く、他の市営プールは5キロ以上も遠くなるし、子どもには自転車では危険で行かせられない」と話す。
図書費から65万円 岡本市長「地域の宝」

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 伊賀市の文化財保護審議会(滝井利彰会長)が今年2月、新たに市の文化財として指定するよう笹原秀夫教育長に答申したのは「伊賀国上柘植村并近江国和田・五反田村山論関係文書」の計9点。市は上野図書館の図書購入費から65万円で買った。これまで一度も一般公開していない。【伊賀市指定文化財になった古文書の一部=市教委提供】
 市教委によると、9点は伊賀国上柘植村(伊賀市柘植町)と隣接する近江国和田・五反田村(滋賀県甲賀市甲賀町)との境界争いに関する文書。双方が燃料や飼料にする草木を採取できる入会地を巡り、武力衝突も起きていたという。
 9点のうち「甲賀郡奉行惣・伊賀奉行惣連署起請文」(1573年)は入会地の決定を示す文書で、市教委は「市内にある数少ない16世紀の貴重な古文書。文末の『伊賀奉行十人惣』は強大な大名権力が不在のなかで地域運営を担った『伊賀惣国一揆』と呼ばれる地縁的連合体の代表たちと考えられ、その実在や相手側との共同裁決の手続きなどが明らかになる」としている。
 購入の経緯は、岡本栄市長が2016年末に古くから付き合いのある京都市内の古書画商が送った目録の中から見つけたと説明。「住民自治組織についての貴重な資料。個人よりも公共でしっかり確保できればいい話。地域の宝」と話し、購入を指示したという。
 上野図書館の図書購入費は当初予算で2016年度まで1千万円を計上していたが、歴史資料を購入後の17年度は325万円少ない約674万円に減額。18年度は予算案に約838万円を盛り込んでいる。