伊賀市は8月21日、消防本部の移転用地などとして、県から旧上野商業高校跡地(同市緑ケ丘東町)を購入する計画で協議を進めていることを、市議会議員全員懇談会で説明した。事務レベルで県と協議中の建物を含めた土地取得費は約4億800万円。同費用は9月議会補正予算に盛り込む予定で、今年度中に消防庁舎の基本設計と進入道路の測量設計もそれぞれ進めていく方針という。

2011年3月に閉校した旧上野商高は、敷地面積が東京ドームとほぼ同じ4万6599平方メートル。市の計画では消防庁舎の他に、体育館と武道場、弓道場はそのまま市の施設として活用し、校舎の情報経済科棟は改修して、東部地区市民センターに転用する考えだ。

市は議員に対し、消防庁舎の新築工事費が隣の名張市消防本部と同規模の13億円程度、進入道路となる市道「西明寺緑ヶ丘線」(総延長1090メートル)の整備費が仮試算で約7億円と説明。土地取得費と合わせて約24億円に上ることを明らかにした。

校舎の解体・撤去は当初、県が今年度に実施予定だったが、市側で行う。このため、最終的に市が旧上野商高跡地に計画する事業経費は地区市民センターへの転用にかかる改築費、駐車場の整備費なども加わることから、24億円より更に膨らむものと見られる。

移転地について、消防本部は市役所本庁舎から北に500メートルの位置にある同市平野山之下の現庁舎よりも、「中心市街地を含め、迅速に現場到着ができ、より効率的な現場活動が可能」と説明。現消防庁舎は建設から32年が経過し、08年に県がまとめたデータで、浸水想定区域の中に含まれており、16年5月に期限を迎える消防救急無線のデジタル化に向け、機材の更新や通信指令室を新築する必要が迫っていた。

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