三重県伊賀市に生まれ、二紀会で活躍した抽象画家、中野英一さんの遺作展「魂の相剋」が9月8日から10月9日まで同市別府の「伊賀市ミュージアム青山讃頌舎」で開かれる。伊賀市文化都市協会主催。
中野さんは1926年、同市予野生まれ。二紀会同人の萩森久朗さんに師事し、三重県展で知事賞・中日奨励賞、二紀展で佳作賞・同人賞・同人優賞などを受賞。77年に二紀会会員になり、80年の三重二紀会結成に参加、初代支部長に就任するなど活躍したが、2005年に死去。地元で後進の育成にも尽力し、地元を愛した画家として知られた。
今展は同市では初めの遺作展で、初期から晩年に至る創作の変化が分かるよう、油絵を中心に、コラージュ、エッチングなどの小品から100号までの37点が展示される。
同市市部在住で、会場演出を担当した中野さんの長男、中井英毅さん(67)は「繊細な詩情と激しく熱い思いが混在し、せめぎ合っていた50、60年代の作品は特に面白い」と話し、「父にとって絵を描くことは無上の喜び。表現の模索は死の直前まで続いていた。若い人にも、伊賀にこんな画家がいたことを知って頂けたら」と来場を呼び掛けている。
観覧料は一般300円、高校生以下無料。火曜休館。9月17、24日の午前10時、同11時、午後1時、同2時からは、各回定員8人の菓子付き呈茶会もある。予約制で400円。
遺作展の問い合わせは同協会(0595・22・0511)、呈茶会の申し込みは青山ホール(0595・52・1109)へ。
関連企画展として、堤側庵(名張市新田)で「中野英一遺作展 スケッチブックより」が9月9から14日まで、三重画廊(津市)で「中野英一遺作小品展 抽象作品を主体として」が10月4から8日まで開かれる。
2023年9月9日付851号14面から