【捕獲されたアライグマ3匹=名張市で】
三重県名張市内でアライグマによる農作物被害が続いている。愛らしい姿の一方、野生化した個体による食害は深刻化しており、収穫期を迎えるブドウ園でも農家が対応に追われている。

同市桔梗が丘8番町の「西口園」では、収穫を控えたブドウが狙われている。4代目園主・西口浩史さん(46)は7月中旬、親子とみられるアライグマ3匹を箱わなで同時に捕獲した。「まだ別の個体がいる。捕らないと減らない」と話し、被害防止に向けた対策を続けている。
同園では30種類以上のブドウを栽培。この時期に被害が目立つのは、黒系品種の「ナガノパープル」や「巨峰」で、色づき始めた房が食害に遭っているという。
高さ約1・7メートルの棚から房が垂れ下がる栽培方法だが、アライグマは棚に上り、袋を破って中の実を食べているとみられる。西口さんは「毎朝、破られた袋を回収する、その繰り返し」と話す。同園の今年の被害額は、既に数十万円規模に上っているという。
西口さんは園内に十数個の箱わなを設置し、餌にはアライグマ以外の動物をおびき寄せにくいとされるキャラメル風味の市販スナック菓子を使うなど、試行錯誤を重ねているが、餌だけを取る個体も現れているという。防護ネットや電気柵、忌避剤なども設置しているが、被害防止は容易ではない。
市内で捕獲数急増
環境省によると、アライグマは北米原産で、「特定外来生物」に指定されている。1977年に放映されたテレビアニメをきっかけにペットとして人気を集めた後、飼育放棄などにより全国で野生化が進んだ。攻撃的な性質で、かみつきなどによるけがや感染症への注意も必要とされる。
市によると、市内では92年に市街地の民家の天井裏で初めて確認され、2005年ごろから目撃情報や農作物被害、家屋への侵入の相談が増加。現在は生息範囲が市内全域に広がっているとみられ、市が外来生物法に基づく防除を進めている。
市内のアライグマ捕獲数は、25年度が155匹だった。今年度は7月13日現在で84匹と、前年同期(約50匹)を大きく上回るペースで推移している。市農林資源室の担当者は、捕獲数の増加は個体数の増加が背景にあるとみている。
「個体数を減らさないと根本的な解決にならない」と話す西口さん。7月25日に直売所をオープンするが、収穫期のブドウを守るための取り組みは続く。


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