【自身の器を手に昭夫さんと郁子さんの作品を紹介する小牧さん】

 「支えてくれた方々に、父の人となりを思い出してもらえたら」。小学6年夏から高校卒業まで三重県名張市で育った滋賀県甲賀市信楽町多羅尾の陶芸家、小牧鉄平さん(54)が、今年1月に亡くなった陶芸家の父・昭夫さん(享年85)(名張市桔梗が丘)をしのび、母・郁子さん(83)の絵画も合わせた3人展「軌跡‐それぞれの表現‐」を10月1から7日まで開く。

生前の昭夫さん(2022年撮影)

 現役時代は企業で燃料電池の研究開発に携わった昭夫さんは、大学では窯業を学んでいたが、定年後に本格的に作陶を始め、白を基調としたオブジェや花器などで知られる。2022年には郁子さんとの夫婦展も開き、翌23年には三重県文化賞の文化功労賞を受賞したが、昨年末に体調を崩していた。

初めて親子で発表

 小牧さんは京都精華大学で陶芸を学び、信楽の窯元で約10年間勤務し、2005年に多羅尾で窯を構え独立。オーソドックスな焼き締めをライフワークとし、近年は「土の味を見せつつ、装飾もしてみたい」と、ガス窯を使い彩色豊かな焼き締めにも挑戦している。

郁子さん(同)

 当初は、小牧さんが個展を予定し、一度は昭夫さんと郁子さんの2人展に変更したが、昭夫さんが亡くなり、初めての3人展を開くべく小牧さんが準備を進めてきた。「くしくも父が亡くなったことがきっかけで、初めて親子で発表できる機会になった。突然いなくなってしまったので、せめて作品から思い出してほしい」と小牧さんは思いを話した。

 今回は、絵画をたしなんで約半世紀という郁子さんの油彩画なども含め、3人で計120点ほどを展示する予定。会場は伊賀市上野福居町のギャラリー「アートスペースいが」で、時間は午前11時から午後6時(最終日は同4時)まで。入場無料。

 問い合わせは同ギャラリー(0595・22・0522)へ。

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