【改修が終わった自宅前に立つ髙橋さん家族=伊賀市馬田で】

 大阪から通い、7年の歳月をかけて古民家を家族で改修し、このほど飲食店もオープンさせた、三重県伊賀市馬田の自営業、髙橋進二さん、幸美さん夫妻。思いが詰まった「我が家」に転居し、スローライフを満喫している。

 4人の子どもに恵まれ、調理師としてホテルなどで和洋さまざまな料理に携わり、がむしゃらに働いてきた髙橋さん。7年前、空き家バンクで、見晴らしが良く、田畑・山林付きの古民家を見つけ、購入を即決した。ドライブでよく来ていたという阿山地区は、整備された公園や水が奇麗で、好印象だったからだそうだ。

家族の支え

 古民家をDIYするのが夢だったといい、週末に伊賀を訪れては作業を続けた。最初に着手したのは、名前や家紋が入った特徴ある雨どいを、自身の名前と家紋に変えたこと。名前を入れることで「よし、やるぞ」と気合も入ったそう。

 一連の作業は、動画サイトを参考にした。移動させたり壊したりしてはいけない柱などは、知り合いに助言をもらった。中でも屋根は苦労した。雨漏りの修繕や、天井にパテをしてクロスを貼るなど、重労働が続いた。幸美さんと2人の作業では、ボードを持つ幸美さんが重さのあまり泣きそうになっていたという。

 夫妻が中心になってのDIYだったが、独立した子どもたちやその家族も手伝ってくれた。専門的な電気系統の作業は業者に頼んだものの、しっくいを塗ったり、2部屋を1部屋に改造したり、廃材や端材など使える物は全て使い、見よう見まねで“自分たちの城”を築き上げていった。

改修した室内を案内する髙橋さん=同

 コロナ禍で作業を控えざるをえなくなり、予定以上に月日が経ってしまった。一時はくじけそうにもなったというが、「自分たちでやることに値打ちがある」と、自らを鼓舞した。雑草だらけの庭も耕し、除草シートを敷いて石を置いた。模様が欲しかったため赤瓦で道を造り、裏山の竹を切って柵も作り、「風流に仕上げた」。

 昨夏、12LDKという広い家が出来上がり、住めるようになった。子どもたち家族が来ても有り余るほどの部屋数で、皆喜んでいるという。

 「静かな環境なので落ち着く。自分たちでやったという達成感がうれしい」。現在もまだ改装中で、「今後は畑もしてみたい」と笑顔だ。

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