【高速道路のサービスエリアで使われるダストボックス。全国で6割のシェアを占めているという】
業務用厨房で使われるステンレス製の調理台や作業台、シンク、食器戸棚などをオーダーメイドで手掛ける株式会社ウサミ(本社・伊賀市西之澤)は、高い技術力を強みに安定した成長を続けている。
1964年に大阪府八尾市で設立。88年に伊賀市に工場を建設し、その後、本社も移転した。現在は正社員、パート、派遣社員、海外からの研修生を含め約50人が働く。昨年度の年商は約7億円に上った。
宇佐美真一社長(60)は40歳の時、創業者の父・忠明さんから経営を引き継いだ。「創業当初は業務用ガス機器の製造が中心だったが、人材や資金面を考え、私の代でステンレス製品の製造に移行した」と振り返る。
転機となったのが、業務用厨房機器業界でトップクラスのシェアを誇るホシザキ株式会社との取引開始だ。その全国販売網を通じ、飲食店を始め、学校や社員食堂など国内外の多様な現場へ製品を納めることが可能になった。新規出店の飲食店から、厨房設備一式をまとめて受注するケースも多いという。
同社の強みは、厨房機器作りで培った技術を生かした完全オーダーメイド対応にある。料理人の身長や動線などに合わせて調理台の高さを数センチ単位で調整したり、食器のサイズに応じてシンクを設計したりと、要望は一つとして同じものがない。船上の厨房向けの調理台では、揺れに耐えられるよう床への固定や扉が開かない工夫を施すなど、使用環境に合わせた設計も行う。
同社のステンレス加工技術は、厨房分野以外にも応用されている。高速道路のサービスエリアなどに設置されている、ごみの中身が見えるスケルトン構造の「分別ダストボックス」は、同社が設計・デザインを担当したもので、全国で6割のシェアを占めているという。
約2万平方メートルの敷地に立つ工場では、コイル状のステンレス板を平坦に伸ばす工程から、切断、穴開け、曲げ加工、溶接、研磨、組み立てまでを一貫して自社で行う。「外注に頼らず全工程を内製する一貫生産は、この業界では珍しい。品質と納期を守れることが最大の強みだ」と宇佐美社長は胸を張る。
人材育成体制に手応え
現場で働く社員の多くは、他業界からの転職者だ。入社後は先輩職人のもとで基礎から技能を学び、約1年で各工程の専門性を身に着けていく。「やる気さえあれば、入社時に専門的な知識や経験は必要ない。製造、営業ともに、次代を担う30、40代の人材を積極的に迎えたい」と石川康夫取締役営業部長(63)は話す。

石生一嘉工場長(51)は「熟練技術者がそろっており、若手が現場で直接技術を学べる環境がある」とし、人材育成の体制に手応えを感じている。
今後について宇佐美社長は「厨房分野で培ったステンレス加工技術を生かし、新たな用途開拓にも挑戦していきたい。人材育成にも力を入れ、持続的な成長を目指す」と展望を語った。















