【ピアノを弾く椿原さん(提供写真)】

 三重県名張市滝之原の椿原章仁さん(37)は、33歳からピアノを始めたのを皮切りに、34歳で書道とボイストレーニング、35歳で古流武術、そして36歳でレスリングと、年を重ねながら新しいことに挑戦、ピアノやレスリングでは国内の大会で優勝するなど受賞経験も豊富だ。

 本業はカウンセラーで、21歳の時に起業した。全国の引きこもりで悩んでいる人の両親などから依頼を受け、東京だけでも80回以上のセミナー開催実績がある。自身も中学2年の時から不登校になり、19歳まで引きこもりを経験した。

レスリングの金沢大会で優勝した椿原さん(提供)

 この体験から睡眠不足の体調不良による判断力の低下が第一の原因だと気づいたという。

 きっかけは24歳から3年間、“特訓した”という「整体」だった。月に5日、大阪の著名な整体師の元に通い、本格的な技術を磨いた。「体を整えることで、心も必ず影響がある。施術することは、カウンセリングと同じ」と話す椿原さんは、整体師としても活動している。

 心境に変化が起きたのがコロナ禍だった。「多くの人をサポートすることも大切だが、自分自身も苦手なことに挑戦し、行動し成長していく姿を見せることが重要なのでは」。思いが募った結果、苦手だった音楽や武道に挑戦するようになったという。

 ピアノと声楽は毎月3日の出張に合わせ、東京で個人レッスンを受けている。15歳以上を対象としたピアノコンクール「エリーゼ音楽祭」では、講師が亡くなったことによる数年のブランクを乗り越え、今年あった神戸と名古屋の予選Bコース(経験者向け)でそれぞれ優秀賞を、関東予選Aコース(初心者向け)では優秀賞第1位を受賞した。

 昨年9月に始めたレスリングは、松阪市の「松阪レスリングクラブ」に通っている。段位は2段で、今年のマスターズレスリング金沢大会では、男子フレッシュマンの部(35から40歳・78キロ)で見事に優勝した。

 今年10月、動画配信サイト・ユーチューブにチャンネル「君はエリーゼしか弾かない」(https://www.youtube.com//@PianoElise)を開設。「ピアノ演奏している姿をアップしていくとともに、入門曲の『エリーゼのために』を弾く動画を多くの人にアップしてもらって交流を図りたい」と話す。

 椿原さんは「自身の経験から学んだことは心と体の関係性。健康に気遣い、積極的に行動を起こすことで心も晴れやかになることにつながる。これからの夢は、ピアノや整体の動画配信を通じて、広くそのことを伝えていきたい」と話している。

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