【施設の魅力を語る吉綱さん(左)と浅井さん=同】
伊賀流忍者体験施設「万川集海」が三重県伊賀市上野丸之内にオープンして数か月。休日を中心に、外国人を含めた多くの観光客が来場している。開設の思い、オープン以降の反響、課題などについて、施設の管理・運営を担っている特別目的会社「株式会社伊賀市にぎわいパートナーズ」代表取締役の吉綱利明さん(51)とグループ長の浅井友和さん(50)に聞いた。
4つのテーマ

施設は伊賀の市街地活性化を目的に、官民連携のPFI方式による「にぎわい忍者回廊整備事業」の一つに位置付けられ、「遊ぶ」「学ぶ」「食べる」「泊まる」を通して伊賀忍者の神髄が体験できる。
「遊ぶ」「学ぶ」では2つの体験コースがあり、予約制。「体験A(魔堅窟巡り)」は、忍者が暗躍する地底洞窟にヘルメットを装着して潜入し、音声ガイドを聞きながら忍術書「万川集海」が説く忍びの教えを学ぶ。
3階吹き抜けの暗闇の空間の中で、幅の狭い通路や揺れの大きいつり橋を進み、9か所のスポットでお札をタッチ。流れてくる音声で、忍びの教えを学ぶことができる。20分コースで大人(高校生以上)2000円、小人(小中学生)1500円。
深く忍術を学びたい人は「体験B(忍修殿)」へ。ここでは忍びの装束に身を包み、45種類の忍術のうち8から12種類を実践的に体験する。手裏剣術、歩行術、護身術などで、インストラクターが付き、終了証がもらえる。2時間コースで大人(同)6000円、小人(同)4500円。
浅井さんは「遊びの要素は極力抑えてリアルさを追求した体験で、忍者の暮らしぶりや心得をきっちり学べる。アニメでしか知らない忍者のイメージが変わった、という来場者も多い」と話す。
特産使った食事
「食べる」は、4階にあるレストランで。伊賀牛、とよさ豚などの特産品を使った牛鍋や、牛しゃぶ、または豚しゃぶ野菜鍋膳などが味わえる。伊賀市丸柱の長谷園の土鍋で炊いた伊賀米や新鮮野菜、地酒も堪能できる。
また2階の土産売り場では、伊賀ブランドに認定された名産品の数々や忍者グッズなどをそろえている。

「活性化がミッション」
「泊まる」では、体験施設と一体化した宿泊所が3室ある。遊び心のある2段ベッド、露天風呂、サウナもあり、アンティークな家具とともに、まさに“忍者の隠れ宿”の趣だ。食事・体験コース付きで、1泊10万円(1室2人利用)。
吉綱さんは「伊賀市には、魅力ある観光名所や名産品がたくさんある。『忍者文化の聖地である伊賀』を前面に打ち出して国内外にPRし、インバウンドを中心に観光客誘致を図りたい。この忍者体験施設とともに、旧上野市庁舎(SAKAKURA BASE)を核として、観光客を中心市街地へ誘導し、活性化を図るのがミッション」と力を込める。
2025年11月22日付904号16面から

















