【調査報告について説明する澤田教育長(左端)ら=伊賀市役所で】

 三重県伊賀市立崇広中2年生の1学期音楽科の成績が改ざんされた問題で、同市教育委員会は10月27日、調査報告を公表した。発生の要因は評価の項目や割合が学校や学年、教員間で異なっていることを挙げ、市として統一した一定の評価基準を設け、生徒や保護者に十分に示すなど3点の改善案を示した。

 調査報告で示された課題は▼統一した一定の評価基準がない▼評価のチェック体制が不十分▼非常勤講師が評価に費やす時間の不足の3点。評価基準がないことで、本人以外の各教科担当者がどう評価したかの理由や根拠が分からなかったり、生徒や保護者に評価基準を事前に明示していなかったりした点を問題と説明した。

 改善案では、市教委内に「成績評価基準策定本部」を設置する要綱を12月から施行し、年度末に各校へ提示する。チェック体制は全ての中学で学期ごとに校長や教頭、学年主任、学級担任らで構成する「連携会議」を開き、各教科担任の評価に対し、成績評価基準に基づき円滑に運用できているか確認することとした。非常勤講師の勤務条件では、担当する授業以外の事務作業に必要な時間を十分確保し、会議出席には市費で対応する。

 5教科と他の技能教科では評価項目や割合の基準が大きく異なっている問題点に対しては、各中学の担当教員で構成する教科単位の部会で評価の基準などを作成する。教科担当から学年主任らに提出する評価の資料についても見直し、評価の理由や根拠を記載する統一した様式の「成績評価表」を市教委が新たに作成し、懇談会などで求めがあれば、生徒や保護者に提示する。

 教科担当が従来提出していた評価の資料は学級単位で、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体性」の観点別ABC評価と5段階評定、定期テストの点数や数値だけで、Cの評価や1の評定だった生徒のみ、備考欄に「レポート未提出」などの理由を示すケースが多かった。経験の浅い教員は不安な気持ちを抱えながら評価する現状も今回の調査で明らかになったという。

 調査報告は澤田剛教育長や弁護士資格がある法務統括監、市教委事務局の職員らが9月25日から10月24日までに計5回の会議を開き、稲森稔尚市長には27日の公表前に説明した。発生の背景や問題点を洗い出すため、市内全ての10中学校に勤務する普通学級で授業や評価を担う教員202人を対象にしたアンケートや成績の改ざんが発覚した崇広中の校長、教頭、2年の学年主任、担任、音楽科の担当講師らへの聞き取りの調査を実施した。

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