【戦争遺児の文章を朗読する英心高校桔梗が丘校生の3人=名張市松崎町で】
三重県名張市の戦没者追悼式が10月1日、同市松崎町のadsホールで営まれた。戦後80年の節目に、各地区の遺族会関係者ら約300人が参列し、祭壇に白菊を供えた。高校生による戦争遺児の文章の朗読もあった。
市によると、同市では西南戦争から第二次世界大戦までに1190人が犠牲になった。北川裕之市長は式辞で、漫画家のやなせたかしさんが生んだアンパンマンや、ウクライナとガザ地区の戦争に触れ、「今、私たちに必要な事は『社会全体で他者を思いやる心をいかに共有できるか』ではないか。そのことが平和を守る心の砦を築くことにつながる」と述べた。

追悼の言葉を述べたのは、市遺族連合会の若山東男会長(82)。父をビルマ(現ミャンマー)の戦地で亡くした若山会長は「平和の尊さを次世代へ語り継ぐことは私たちの責務。その使命を改めて胸に刻む」と誓った。
朗読に臨んだのは、私立英心高校桔梗が丘校2年の浦田円香さん(17)と吉岡花梨さん(16)、1年の杉本真菜さん(15)。3人は市遺族連合会が1991年に発刊した「追憶」から、海外の戦地で父を失った遺児の文章を読み上げ、静まり返った会場に一語一語を響かせた。
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