【入選した(右から)松山さん、谷本さん、日野さん】

 優れた伝統工芸の保護・育成を目的とした「第72回日本伝統工芸展」(文化庁・NHK・朝日新聞社・日本工芸会主催)の染織部門で、三重県名張市桔梗が丘3の松山好成さん(79)、諸工芸部門で同桔梗が丘の谷本雅一さん(49)、木竹工部門で伊賀市上野相生町の日野昌一さん(67)が入選を果たした。9月26日に古川美術館(名古屋市千種区)で始まった同展の「名古屋展」で展示されている。

組みひも・松山さん

 松山さんは長年、家業として組みひもに携わり、現在も自宅にある工房で、高い技術が求められる「唐組台」を使った、古来の公家男子の衣装である束帯の技法を用いた組みひも作りに取り組んでいる。同展には過去23回入選し、2022年の第69回では唐組帯締「潮騒」で日本工芸会会長賞に輝いた。今回は「唐組帯締『山笑う』」で入選し、「これからは再度受賞できるよう、組みひも作りに励みたい」と話す。

松山さんの入選作品

石工・谷本さん

 谷本さんは、5代目として家業の石材店を切り盛りする傍ら、1997年の技能五輪全国大会第1位を皮切りに、数々の競技会で優秀な成績を収めてきた。業界最年少の38歳で「現代の名工」(卓越技能者表彰)を受けた他、43歳の若さで黄綬褒章を受章。今回は「黒岩花器『記憶の風』」で入選し、「諸工芸の分野で石の素材の作品が初めて認められたことがうれしい」と語っている。

谷本さんの作品「黒岩花器『記憶の風』」

竹細工・日野さん

 50代で退職し、趣味で竹細工を始めた日野さんは、宇陀市の工芸家・上野孝志さんに指導を仰ぎ、上野さんの勧めで、2023年に同展の東海展に初出品。最高賞に次ぐ「東海伝統工芸展賞」に輝いた。今回は高さ42㌢の「花籃『池月』」で入選し、「昨年の東海展で初エントリーし、2回目で本展に入選できてうれしい。正会員を目指したい」と話していた。

日野さんの入選作品

 名古屋展は10月6日まで、時間は午前10時から午後5時。9月29日休館。入館料(単館券)は900円で、分館との共通入場券は一般1200円、高校・大学生500円、中学生以下無料。

 問い合わせは同美術館(052・763・1991)へ。

- Advertisement -