【まだら模様の入ったカナブン】

 趣味で昆虫採集を楽しむ三重県名張市すずらん台西の自営業、寺岡孝太郎さん(50)が7月下旬、同市南東部の林で、緑色に赤黒いまだら模様の入ったカナブンを見つけた。突然変異や表皮の異常によるものとみられ、無事に成虫になるケースは珍しいといい、愛好家仲間の間で「見たことがない」「採集できたのは天文学的な確率」と話題になっている。

まだら模様のカナブンを手にする寺岡さん=名張市すずらん台で

 カブトムシやクワガタが好きな父の影響で、幼少時から昆虫が好きな寺岡さんは、昆虫の採集や飼育、カブトムシやクワガタの交配などについての動画を紹介するYouTubeチャンネル「わくわく探検隊」のメンバー「コー君」としても活動。時間を見つけては採集に出掛け、珍しい個体が見つかると写真や動画をSNSなどで紹介している。

 橿原市昆虫館(奈良県)によると、このカナブンは模様のパターンが左右非対称で、突然変異か、さなぎや幼虫の時に病気や傷などで表皮に異常が起きたことが原因と考えられるという。こうした異常が出た場合、羽化の際に羽がうまく伸びなかったり成虫になる前に死んでしまったりするケースが多いそうだ。

 寺岡さんは名張で生まれ育ち、親子3代で昆虫探しを楽しんだこともある。同チャンネルやイベントで交流を持った愛好家仲間との交流を通じて「伊賀名張には想像以上に多くの昆虫が生息している」と感じているが、このカナブンには興奮を隠せない。

 「酷暑の影響でノコギリクワガタが増え、昔は多かったミヤマクワガタが減っている」。生態系への影響を考え、カブトムシやクワガタも小さい個体や雌は捕らないようにしているという寺岡さんは「生きて世に出てきたことも、自分が出会えたことも奇跡だと思う。これからも昆虫の魅力を発信していきたい」と話していた。

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