【名張市役所=同市鴻之台1】
三重県名張市は6月3日、1億975万円増額の一般会計補正予算案など11議案を発表した。10日が初日の市議会定例議会に提出する。
補正予算案では、公共ライドシェア実証運行の委託費や、人工知能(AI)を活用した水道管の劣化診断などを盛り込んだ。会見した北川裕之市長は、市の厳しい財政状況を踏まえ、「原則、緊急やむを得ない事業や全額補助事業以外は今回、認めていない」と述べた。
ライドシェアは、一般のドライバーが自家用車を使って有料で人を運ぶサービス。実証運行は、同市さつき台を除く薦原地区で今年10月から来年3月まで行う予定としている。
現在、薦原コミュニティバス運営委員会が民間に委託運行している「コモコモ号」は、高齢化の影響などで利用率が低下。利用者数は2017年度が1日平均17・2人だったが、24年度は6・5人だった。
より柔軟な運行が可能なライドシェアを試し、他地域への展開も視野に、効果を分析する。事業費は1237万円で、国が500万円、県が2分の1を補助する。関連するコミュニティ交通人材育成事業にも、1551万円が計上された。
水道管の劣化診断は、NTT西日本の子会社への委託事業で、事業費は500万円、国が2分の1を補助する。上水道が対象で、市が提供した管路データや漏水記録と同社が持つ地質など100種類以上のデータを基に、管の劣化の進行をAIで予測。更新の優先順位を導き出し、計画に反映する。
市上下水道部によると、市全体の上水道の管路延長は667キロで、法定耐用年数の40年を超過した管は2024年度末で全体の53・07%。50年を経過した管路は16%に上る。
他には、名張川の河川改修に合わせて地域活性化を図る「かわまちづくり」に合わせて周辺地区の再生を図るための調査費(1205万円、国補助金活用)などを盛り込んだ。
条例議案では、市立病院の独立行政法人化に伴う条例案や、犯罪被害者らの支援条例案を提案する。