【大時計を紹介する神山さん(左)と妻の知香さん=伊賀市阿保で】

 6月10日は時の記念日。宝石や眼鏡、時計などを販売する三重県伊賀市阿保の「ダイヤモンド神山」には、1924(大正13)年の創業から今も現役で、100年以上の時を刻み続ける大時計がある。4代目の神山幸久さん(51)は「店の歴史を見守ってくれている一番古い従業員」と話す。

 大時計は高さ約210センチ、幅約60センチ、奥行約30センチで、メーカーは不明。3つのぜんまいが使われており、学校のチャイムのメロディーでなじみの「ウェストミンスターの鐘」が15分ごとに鳴る。

 大時計は、創業時に店に設置された。当時は「神山時計店」の看板を掲げ、蓄音機なども販売していた。当時の店構えが残っていたころに嫁いできた母さだ子さん(79)は「大時計はそのころも入り口の脇にあった。売ってくれと言う人もいたが、『これだけは売れない』と断ってきた」と話す。

 神山さんが子どものころは、販売用の掛け時計などが店内に数多く並んでいた。同じタイミングで店中の時計が一斉に鳴ったが、この大時計は「親分のように音が際立っていた」と回想する。

 大時計は30年ほど前に機械部分が壊れ、大掛かりな修理を施してはいるが、100年間動き続けているのは確かだ。5日に1回ほど、重りを巻き上げる作業を欠かさない神山さんは「店のシンボルとしてこれからも守っていきたい」と話した。

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