【完成した絵本を手にする川口さん】

 「素直な文と素朴な絵で、きっと心温まるはず」。三重県名張市蔵持町里の高校非常勤講師、川口真理さん(71)が文を書いた絵本「ひいばあちゃまのこんぺいとう」が昨年末に出版された。約20年前に文も絵も完成していたが、出版元が決まらず先延ばしになっていた。

 川口さんが自身の体験や思いを文章にまとめ、当時勤務校の同僚だった福田美幸さんに挿絵を依頼した。その後、「このまま埋もれさせてしまうのは惜しい」と思っていた川口さんが知人に相談したところ、三重大学出版会(津市)から出版できることになった。

 物語には、自身の母をモデルにした「ひいばあちゃま」と孫の「まこ」らが登場する。夏のある日、ひいばあちゃまが作ってくれた金魚模様の浴衣を着て家族とともに花火見物に出掛け、家で待つひいばあちゃまに「こんぺいとう」を持って帰ったまこは、ひいばあちゃまが花火を見に行かず家から出ない理由を聞くことに。丸くなったその背中は何を語るのか―。

 ペンネームは、川口さんが「小田まり」の名で執筆し、絵は伊賀市出身の福田さんが「みゆき」の名で担当した。戦争や災害についての話題などが連日報道される中、川口さんは「幅広い世代の方に平和をかみしめてもらえる1冊に」と願っている。

 絵本はB5版41ページで、税込み1540円。伊賀地域の主要書店で販売している。

2024年2月10日付862号3面から

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