【難燃剤などの材料を仕込む大きなタンク。操作は自動制御されている】

シェア5割の商品も

 「カーテンや壁紙、どん帳などを燃えにくく」「プラスチックの表面を滑りやすく、かつ静電気を起こさない」「ラッピングフィルムで野菜や果物を包んでも曇りにくい」――。繊維や樹脂、プラススチックなどの素材にこのような機能を付加するための油剤や添加剤を生産している丸菱油化工業株式会社の名張工場(三重県名張市蔵持町原出)。今、各分野で注目されている難燃剤の生産が好調だ。

「難燃技術は当社の得意分野」と話す小林本部長(右)と井上工場長=名張市で

 同社は昭和初期の1927年に創業、本社は大阪市北区にある。繊維産業が盛んだった同市で、羊毛を紡ぎやすくするための工業用オイルの生産を国内で初めて開始した。

 その後、水と油の「はじく」「なじませる」という両方の性質を自由にコントロールする「界面活性技術」を生かし、繊維はもとより樹脂やプラスチックフィルムなどの素材に「難燃」「帯電防止」「防曇」「分散」「浸透」などの付加機能を開発してきた。

 「当社の生産の半分以上を占める難燃剤は、ビル火災などを契機に消防法の基準がシビアになるにつれて、需要が拡大している。着火しにくく自己消火性のある難燃剤を付与した壁紙、合板、カーテンなどが、日本防炎協会から推奨されている」と話す小林淳一研究本部長(56)。
 
 身近なところでは、燃えにくい自動車のシートや内装材の他、ボンネットの裏側にある防熱用のフードインシュレーターなどにも、自己消火性のある難燃剤が施されているそうで、同社のシェアが5割を超す商品もあるそうだ。更に家電では、UL(安全認証)規格に基づき、テレビなどにも燃えにくい素材が使われている。

 特に最近脚光を浴びているのは木材を使った高層建築で、構造材に難燃剤を施した木と金属とコンクリートの複合材料を使うことで可能になったという。

 小林本部長は「木質材料の難燃技術は、当社の得意分野。高い難燃基準が要求される高層建築の分野において、その普及のために納入先のお客さまのニーズに応え製品開発を進めている」と話す。

 同社の従業員は本社、研究本部、営業本部、2工場を合わせて約120人。名張工場では現在30歳前後の13人が日勤制で勤務している。需要の拡大に伴って現在、人材を募集している。

 井上啓生産本部長兼名張工場長(60)は「当社の伝統技術をベースに自動車、半導体、建築など各産業の高性能化を下支えする裏方として、若い社員とともに事業の拡大を目指したい」と話している。

 問い合わせなどは同社のホームページ(https://marubishi.jp/)で応じている。

2024年1月13日付859号8面から

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