【重要文化財に見立てた箱を本堂から運び出す参加者=名張市黒田で】

 1月26日の文化財防火デーを前に21日、三重県名張市黒田の無動寺(杉本隆玄住職)で消防訓練があった。消防や寺の関係者、地域住民ら約60人が参加した。〈YouTubeで動画(https://youtu.be/Kon0wn-kmx0)〉

境内で放水する参加者=同

 文化財防火デーは、1949年1月26日に奈良県の法隆寺の金堂で火事が起き、壁画などが焼損したことをきっかけに定められ、今年で70回目を迎える。

 無動寺は、平安時代前期の弘仁年間に弘法大師空海が創建したと伝わる。本尊の「木造不動明王立像」(平安後期作)が国の重要文化財に指定されている他、「両界曼陀羅」「阿弥陀如来来迎図」が市の有形文化財に指定されている。

 訓練は、奉仕作業に檀家が集まっていたところ、護摩堂から出火したと想定。杉本住職が大きな声を出して火災の発生を周囲に伝えた後、消防に通報し、檀家らが消火器や境内の消火栓を使って初期消火に当たったり、文化財に見立てた箱を本堂から搬出したりした。

 その後、消防隊員が到着し、近くの防火水槽から手際よくホースを伸ばして放水した。消火作業中に負傷者が1人出たと想定し、救護訓練も行われた。

 訓練後のあいさつで市消防本部の八村知成消防長は「初動の対応が重要で、地域の皆さんの協力無くしては文化財を守っていけない。引き続きよろしくお願いしたい」と話した。

 檀家総代長の髙田稔嗣さんは「やはり初期消火が大事。この機会に、寺だけでなく自宅の消火器も確認したい」と話した。

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