【名張・坂下選手(2022年秋季地区予選)】

 高校野球の活性化や選手の意欲向上、選手間交流などを目的に初めて企画された、三重県と愛知県の高校野球選抜チームによる交流試合が、11月25日に愛知県内で開かれ、県内各校から25人、うち伊賀地域の学校から3人が参加した。

神村学園伊賀・寺井選手(2023年秋季東海大会)

 県高野連などによると、競技活性化のため都道府県や地区単位で選抜チームを組み、公式戦以外の試合を年1回実施できることを、日本高校野球連盟が昨年、各都道府県の高野連に伝達して以降、各地で交流試合が組まれるようになってきたといい、来秋は三重県内で開催予定だ。

 交流試合は2試合実施され、名張(名張市東町)から主戦投手の坂下海月選手、近大高専(同市春日丘)から二塁手の新田剛士選手、今秋の東海大会に初出場した神村学園伊賀(伊賀市北山)からは主将で一塁手の寺井広大選手が選ばれた。

 名張北中出身で、1年時からチームのマウンドを任される坂下選手は第2戦に3番手で登板し、2回を投げて被安打1、奪三振2、与四球1で無失点。身長185センチのオーバースローで、ストレートの最速は135キロ。「打球も速く、積極的に打ってくるので怖さはあったが、楽しく投げられた」と振り返る。

 新田選手は第2戦に2番・二塁で先発出場し、1安打と犠打・犠飛各1を記録した。寺井選手は第1戦に4番・一塁で先発出場し、二塁打を含む2安打を放ち、それぞれにプレーでアピールした他、試合の合間には来場した子どもたちとの交流イベントもあり、普及活動にも貢献した。

近大高専・新田選手(2023年秋季地区予選)

 名張は新チームの男子部員が6人のみで、今年の秋季大会は白子(鈴鹿市)と連合チームで中地区予選に出場。坂下選手は3次予選までの全6試合に登板(うち先発4試合)し、県大会出場へあと一歩に迫った。

 名張の諸木康真監督は、放送中のドラマ「下剋上球児」の原案にもなった2018年夏の全国高校野球選手権大会に白山(津市)の副部長として関わった一人。「地元の学校が勝つことで地域が活性化し、それが地域貢献につながることを教わった。名張も、勝つことで地域を盛り上げていきたい」と思いを話し、「そのためには歴史ある野球部のOBも含め、地域で応援する機運が盛り上がってくれたら」と願っている。

 諸木監督は坂下選手について「交流試合に選ばれたことが、本人にとっても学校にとってもいいきっかけになるのでは。地域の公立校にこうした選手がいることを知ってほしい」と語り、坂下選手も「名張は元気のあるチームなので、もっと人数が増えてくれたら活気が出ると思う。来春・夏に向けて、積極的な試合運びができるよう練習を重ねていきたい」と気を引き締めていた。

- Advertisement -