【セッションを楽しむ伊原さん(左)】

 「ジャズの魅力はアドリブと4ビートのグルービーなサウンド」と語る、三重県伊賀市上野農人町の伊原慧遠さん(76)は、ジャズ・ボッサバー「プラサード」(同上野農人町)のマスターとして多くの音楽愛好家らに慕われてきた。近年、大病を患って入退院を繰り返し、店の運営も人に任せていたが、奇跡的に回復し、大好きなピアノやギターを奏でられる日々が戻ってきた。

 10年前の当初は肺がんのステージ1との診断だったが、4年前にはステージ4まで進行、医師からは「余命は1年」と告げられた。通院を重ねて抗がん剤治療を続ける中、死への恐怖にも襲われたが、「音楽を続ければ前向きに生きられる」との思いが通じたのか、状況は好転。現在は「音楽に命を助けられた」と感じている。

 伊原さんは現在、毎週木曜の夜、サックス奏者の中ノ坊徹さん(同市甲野)(58)とのセッションを楽しんでいる。中ノ坊さんは伊原さんに誘われてジャズのスタンダード曲に取り組むようになったといい、有名なジャズ曲集から思いつくままに弾きたい曲を選び、テーマ、アドリブと進んでいくのが2人のやり方だ。

 「以前はピアノを弾いていたが、最近はギターが気に入っている」と語る伊原さんは「ピアノとベースのメンバーがいてくれたらセッションがもっと楽しくなる。気軽にジャズセッションを楽しんでみませんか」と呼び掛けていた。

 問い合わせは伊原さん(0595・51・4630)まで。

2023年10月28日付854号20面から

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