【「ボランティア先生」と一対一で学習する生徒=伊賀市平野山之下で】

 「わからない」を「わかる」に変えよう。外国にルーツを持つ小中学生向けに、やさしい日本語で教科学習をサポートする学習支援教室「ささゆり」が、2006年から三重県伊賀市内で開かれている。一対一で熱心に指導するのは「ボランティア先生」と呼ばれるスタッフたちだ。

 市からの委託を受けて教室を運営する「伊賀の伝丸」(上野東町)は、豊かな多文化共生社会を目指し、多言語サービスの提供や生活相談などの事業を展開するNPO法人。親が日本語をうまく話せなかったり、日本の文化・習慣になじみが薄かったりすることで家庭学習に支障が出ている家庭も少なくないといい、現在はブラジル、ペルーを中心に30人ほどの児童生徒が登録している。

 対象は小学5年から中学3年で、高校進学を目指す既卒者も含まれる。開催は土曜の午後で、会場は市総合福祉会館(同市平野山之下)。参加費は1回200円で、毎回10人前後の利用があるといい、習いに通う井堀アカリさん(12)は「わかりやすくて楽しい」、クマクラアケミさん(13)は「先生がそばにいてくれるので安心して勉強できる」と話していた。

 「ボランティア先生」には10人ほど登録があり、年齢や資格は不問。3年ほど前から月2回ほど教えに来ている辻正幸さん(66)は「学校の勉強で分からなかったことがここへ来て分かった時、表情が明るくなるのを見ているとこちらもうれしくなる」と笑顔で語った。

 秋から冬にかけ、クラブ活動を引退した中学生の利用が増えることも予想され、同法人の和田京子代表は「子どもたちの現状を知って理解して頂き、ぜひ仲間になって頂けたら」と話した。

 問い合わせは同法人(0595・23・0912)まで。

2023年10月28日付854号11面から

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