【現役引退をねぎらう食事会に参加した佐ノ山親方(前から2列目中央)ら=名張市鴻之台で】

「第二の千代の国を」北中柔道部関係者らねぎらう

 三重県伊賀市出身で元幕内・千代の国の佐ノ山親方(本名・澤田憲輝=33)がこのほど、現役引退を地元に報告した。帰郷中には柔道部で指導を受けた恩師や先輩後輩らとも会食し、あいさつで「17年という長くて短い相撲人生だったが、納得のいくところまでやり切った。完全燃焼できた」と振り返り、感謝を伝えた。

 佐ノ山親方は、中学の卒業式を終えた日にそのまま九重部屋に入門。2006年の夏場所で初土俵を踏んだ。新入幕を果たしたのは21歳だった12年の初場所で、最高位は東前頭筆頭。幕内の通算在位は34場所で、17年5月の夏場所では横綱の鶴竜を破る金星を挙げ、敢闘賞も2回受賞した。

 現役時代は大けがを何度も乗り越え、気迫あふれる激しい突き押しの真っ向勝負でファンを沸かせた。今年7月の名古屋場所で引退し、現在は部屋付きの親方として後進の指導に当たっている。

17年の土俵生活終え「親方として精進」

花束を持つ佐ノ山親方と柔道部で顧問だった濱野さん=名張市で

 10月8日には名張市鴻之台の焼肉店で、所属していた同市立北中の柔道部関係者が開いた現役引退をねぎらう食事会に参加。顧問として3年間指導した濱野博臣さんは「本当によく頑張った。何度も大けがを負い、思い悩んだ時期もあったと思う。その経験も生かし力士を後押しする親方になってほしい」と激励した。

 1学年先輩で津市の教員、蟹江文久さん(34)は、けがで2度目となる幕下に陥落した後輩を心配して電話した思い出を乾杯のあいさつで紹介。「『失ったことも多いが、今が一番充実している』と話すのを聞き、体はボロボロなのに、心は全然負けてないなと勇気をもらった。不屈の闘志を持った第二の千代の国のような力士を育ててほしい」とエールを送った。

 来年6月8日には両国・国技館(東京)で断髪式を予定している。佐ノ山親方は、現役時代に応援してくれた地元市民やファンへのメッセージとして「17年間にわたり、たくさんの応援ありがとうございました。今後は部屋付き親方として精いっぱい精進してまいります。まだまだ未熟ですが、これからもご指導お願いいたします」と話した。

2023年10月28日付855号1、18面から

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