【最近発行した紙面を振り返る(左から)春田一葉さん、東野咲苗さん、大久保吏道さん、杉山耀英さん=伊賀市下神戸で】

 「ネットニュースより親しみがわく」「考えて書いた自分の記事が載るとうれしい」。全校生徒の約9割が寮生活を送る三重県伊賀市下神戸の桜丘中・高では、3つある寮(大志寮・志学寮・精華寮)それぞれに学校行事や長期休業のタイミングに合わせ、新聞を年10回ほど発行している。

 紙面はA3版2ページまたは4ページで、校内に掲示する他、帰省の際に持ち帰れるよう印刷する。発行前には各編集長を中心に編集会議を開き、約30人の委員たちが行事ごとに取材・撮影の役割を分担。執筆から紙面レイアウト、組版まで、作業はほぼ生徒の手で行われる。

 話題は、桜丘祭(文化祭)やスポーツ大会、研修旅行など大きな行事が中心だが、時には長年勤務し退職する教員の紹介や、伊賀鉄道沿線の見どころ紹介、時事問題に切り込むような読み物も紙面を賑わせる。生徒同士だからこそ撮れる生き生きとした表情の写真や、読み手の記憶に残りやすい言葉選びを大切にした見出しも特徴的だ。

 「話を聞いた人の言葉を大切にしている」「その人ならではの『なぜ?』を聞くことを心掛けている」。そんな生徒たちの言葉を受け、顧問の中尾武司教諭は「その姿勢がサークルの伝統になっているのでは」と分析する。

 昨年の県高校新聞コンクールでは初の最優秀賞を獲得し、全国高校新聞年間審査賞では3年連続で優良賞に輝いた。ペーパーレス化が進む世の中だからこそ、生徒たちは新聞づくりを通して「伝えること」の意義を学んでいる。

- Advertisement -