【境内で奉納される神事踊=伊賀市山畑で(伊賀市教育委員会提供)】

 三重県伊賀市山畑の勝手神社(西口昌寛宮司)で10月8日、国の重要無形民俗文化財で、昨年11月にユネスコの無形文化遺産に登録された「神事踊」が奉納された。この日は午前から小雨が降り続く中、従来の予定より早く、短時間ではあったが、地元の神事踊保存会のメンバー23人が4年ぶりに踊りを奉納した。

 田楽形式の太鼓(かんこ)を肩から提げて踊り、五穀豊穣や村内安穏などを祈念する「かんこ踊り」の一つで、同神社では江戸後期の寛政年間に行われたと伝わる。近隣15社を合祀した1908(明治41)年以降は一時廃れたが、住民らが復興に尽力し、32(昭和7)年に再開。造花で飾った割竹を枝垂れさせた「オチズイ」を背負い、太鼓を胸に付けた6人の「中踊」を中心に、楽太鼓打、歌出し、鬼などの役がある。

 この日は、東に約1キロ離れた御旅所を正午ごろ出発し、同神社まで御渡りをした後、境内で踊りを奉納した。同神社神事踊保存会の山中茂和会長(74)は「昨年は天候が悪く中止し、今年もやめておこうかという相談もしたが、飾りを作る皆も一生懸命で、『今年はできる』と信じてやってきた。少しだけにはなったが、4年ぶりに御渡りも奉納もできてよかった」と話した。

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