三重県名張市で農産加工所を運営するイーナバリ(本社・同市滝之原)が、市内に自生するネズミサシの実を使ったクラフトジン「柚雪(ゆずき)」の商品化に向けた取り組みを進めている。10月に始めたクラウドファンディング(CF)は好調で、公開から2日で当初の目標金額の100万円を達成。CFは11月末まで続けられる。
ウォッカ、テキーラ、ラムと並んで「世界4大スピリッツ」に数えられる蒸留酒のジン。製造過程では、ヒノキ科の針葉樹の実「ジュニパーベリー」などを使って香り付けが行われる。
ジュニパーベリーは海外産が一般的だが、同市竜口などではジュニパーベリーと近縁種のネズミサシの実が採れる。市は昨年、国の補助金(500万円)を活用して実を使った新たな特産品づくりに取り組む事業を予算化。事業を受託した同社は、岐阜県中津川市の酒造会社の蒸留所で今年、試作を進めてきた。
チコリ焼酎をベースとする柚雪は、ネズミサシの実の他、名張市南古山のユズの皮、同市青蓮寺のブドウ、同市長瀬のサンショウといった地元農家が生産した材料を使い、香り付けして蒸留している。アルコール度数は47度で、柑橘の爽やかな香りが特徴だという。
試作段階では細長い瓶に詰めていたが、商品化に向け、ユズの実をイメージした丸い形の瓶に変更。瓶の奥に女忍者「くノ一」が浮かび上がるようなデザインのパッケージで、販売を予定しているという。
初回は360ミリリットル入り計420本を製造する予定。CFで得た資金は、製造やパッケージングなどの費用に充てるという。
寄付は1口7000円から100万円で、CFサイト「キャンプファイヤー」から。主なリターンは金額ごとに設定されており、柚雪1本に加え地元の野菜や米、牛肉などもある。
同社の営業担当、北道香代子さん(41)は「レディースジンとして打ち出しているが、お酒が好きな皆さんに勧めたい。販路を広げ、地元の生産者を応援していきたい」と話した。